横浜F・マリノスは敵地でFC東京に3-0で快勝した。ハットトリックを達成したオナイウ阿道は勝利の立役者に違いないが、もう一人、3アシストを記録したエウベルの貢献も語り落とせない。今季加入したブラジル人アタッカーは、切れ味鋭いプレーでチームの攻撃をけん引した。

上写真=横浜FMの攻撃をけん引したエウベル(写真◎J.LEAGUE)

■2021年5月1日 明治安田生命J1リーグ第12節(@味の素ス/リモートマッチ)
FC東京 0-3 横浜FM
得点:(横)オナイウ阿道3

前半は右、後半は左で存在感を示す

 前半開始から後半途中までは主に右サイドで。後半の途中からは左で。エウベルはピッチで躍動した。攻撃に幅を生み、果敢に縦を突き、ゴールを導いた。今季加入ながら切れ味抜群の仕掛けと的確なプレー選択で、FC東京戦の勝利に大きく貢献したのだ。

 まるで何年もポステコグルー監督のサッカーを実践してきたかのようだった。チームの1点目。右のライン際にポジションを取ると、チアゴ・マルチンスからのパスを呼び込む。右サイドバックの松原健が同じ高さまで上がってきてピッチのより内側にポジションを取っているのを確認。後方からパスが届くや、松原に素早くはたいて自らは縦へと走り出した。本来、エウベルのマークに付くべきFC東京の小川諒也は攻撃参加している松原に食いつくしかなかった。

 そして次の瞬間、走り出していたエウベルに松原からボールが届く。見事なワンツーを完成させて裏に抜け出すと、カバーに走ってきたCBジョアン・オマリよりも早くボールに触れ、そのまま入れ替わるようにしてボックス右から一気にゴールへ向かった。

 FC東京のもう一人のCB渡辺剛がたまらず進路を防ぎに来たが、エウベルは冷静にコースを見極めてパスをゴール前に通す。フリーで待っていたオナイウ阿道は、ボールを冷静にゴールへと蹴り込めばよかった。

「健からすごく良いパスが来て、相手のDFが先に触るのかなと思いましたが僕の方が先に触ることができました。それでフリーになり、中を見たら阿道がフリーだった。あとはシンプルにパスを出すだけでした」

 一瞬で抜け出せるスピードを持ち、仲間を使うタイミングも絶妙。ドリブルのコース取りも巧みだった。チームの1点目につながった一連のプレーに、エウベルのアタッカーとしての能力が凝縮していた。2点目も同じような形からアシストを記録する。マルコス・ジュニオールのパスで抜け出すと、右からのクロスでオナイウ阿道のゴールをお膳立て。チャンスメーカーとして力を見せつけた。

「両アシストとも阿道も良かったと思いますが、一番大事なのはチームの勝利。その点で、僕はすごく満足しています」

 横浜FMの外国籍選手らしく、チームのために戦う姿勢もしっかり持っている。守備の局面では、相手ボールホルダーにプレッシャーをかけることを忘れなかった。

 3点目もアシストと言っていいだろう。左サイドにポジションを移していたエウベルは敵陣で松原がパスカットに成功したのを確認すると、FC東京の右サイドバック蓮川壮大の裏を狙って動き出した。そしてマルコス・ジュニオール経由でボールを受け取り、シュート。惜しくも相手GKの好守に阻まれたが、跳ね返ったボールをオナイウ阿道がしっかり決めた。

「ポステコグルー監督がいつも言っているのは、マリノスのサッカーに決まったポジションはないということ。後半は流れの中で(前田)大然とポジションを替えて左でプレーする時間が多くなりました。3点目につながるシュートは、左でプレーしているときに視野の広いマルコスから素晴らしいパスが来た。シュートを選択したんですが、相手のキーパーが僕のゴールを許してくれなかったです(苦笑)。ただ、阿道はストライカーなので良いポジションを取っていて、しっかり3点目を決めてくれた。欲しかった時間帯に点を取ってくれたので、勝利を確信できました」

 ゴールこそ決まらなかったが、オナイウ阿道とともに、エウベルは間違いなくこの勝利の立役者だった。

「コンディションは、スタッフのおかげでいま非常にいい状態です。得点にも絡めていますし、アシストもできた。引き続き、チームに貢献していきたい」

 エウベルは今、ハマの強力な翼として自らの力を存分に発揮している。その雄々しい羽ばたきは、しばらくの間、止まりそうもない。


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