2021年4月18日、明治安田生命J1リーグ第10節が開催された。等々力陸上競技場では、川崎フロンターレとサンフレッチェ広島が対戦。川崎Fが素晴らしいコンビネーションから先制したが、広島も個の力で追いつき、ドローで決着した。

上写真=川崎F対広島の一戦はともに譲らず1-1のドローで決着した(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月18日 明治安田生命J1リーグ第10節(@等々力陸/観衆9,720人)
川崎F 1-1 広島
得点:(川)家長昭博
  (広)森島司

・川崎Fメンバー:GKチョン・ソンリョン、DF山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里享平、MF田中碧、脇坂泰斗(71分:塚川孝輝)、遠野大弥(71分:小塚和季)、FW家長昭博(79分:小林悠)、レアンドロ・ダミアン(79分:知念慶)、三笘薫(85分:長谷川竜也)

・広島メンバー:GK大迫敬介、DF野上結貴(85分:茶島雄介)、荒木隼人、今津佑太、東俊希、MF青山敏弘、ハイネル(73分:柴崎晃誠)、森島司、柏好文(66分:エゼキエウ)、浅野雄也(73分:鮎川峻)、FWジュニオール・サントス

1点では何か起きてしまう(鬼木監督)

 前半は、川崎Fの持ち味がピッチで存分に発揮された。広島の選手がボールを持った瞬間、一番近い選手が素早く寄せてファーストディフェンダーになり、続いて第2、第3のDFがアタックする。切り替えの早さとアプローチの鋭さは今季のチームの強みだが、際立った即時奪回力でほとんど攻撃の形をつくらせなかった。

 守備でリズムをつかんだ川崎Fは38分に、らしい攻撃からネットを揺らす。左サイドで三笘がボールを持った瞬間に、右サイドバックの山根が一気にスピードアップ。ダイアゴナルのランニングで裏へと飛び出すと、スルーパスを受けて左足でシュート。一度はGK大迫に止められたが、跳ね返りを拾って脇坂へ折り返し、脇坂はダイレクトで右へと展開。L・ダミアンがスルーして最後は家長が左足で蹴り込み、先制点を挙げた。

 川崎Fペースで進んだ前半を終えて迎えた後半、今度は広島がワンプレーで試合を振り出しに戻してみせる。三笘のゴールがオンフィールドレビューの末に取り消しとなった後のことだった。65分、自陣でボールを奪った広島は、GK大迫がバックパスをダイレクトでロングキック。前線左サイドに開いて待っていたJ・サントスに見事に通した。

 ジェジエウと入れ替わりながらボールを収めたJ・サントスは力強いドリブルでボックス内に到達。右足で放ったシュートは左ポストを叩いたが、跳ね返りを森島がすかさず蹴り込み、ボールは川崎F守備陣に当たってゴールに吸い込まれた。即時奪回を無力化するロングボールと、J・サントスの個の力でゴールをもぎ取ることに成功。この試合で2トップを採用し、その2トップがサイドに開いて起点を作ることを狙っていたと試合後に城福浩監督は明かしたが、広島はまさに狙った形からゴールをこじ開けた。

 スコアが振りだしに戻ったあと、両チームは選手を交代させながら、なおもチャンスをうががった。ホームで勝ち点3がほしい川崎Fは田中や三笘がゴールに迫ったものの、決め切れない。広島もJ・サントスにボールを集めたが、2点目を挙げられなかった。アディショナルタイムまで90+7分間の熱闘。ともに全力で戦い抜いた試合は結局1-1のドローに終わった。

「連敗をしていたので絶対に負けられなかった。相手よりも気持ちで上回らないと勝ち点は取れないと思っていたので、もちろん川崎戦の対策も頭には入れていましたけども、選手は局面局面の戦うというところを90分やってくれたと思います。アウェーの地で、川崎Fから勝ち点1を持ち帰れたことについては評価したい。前半、自分たちが狙っていた展開よりも少し急いでしまった。奪った後、相手のギャップを作る前に放り込むシーンが多くて、失点シーンも自分たちで耐えられなくなって蹴ってしまい、そこを拾われて攻め込まれたところがある。もっと辛抱強くつなげれば。後半はそこを確認して臨めました」

 城福監督は敵地で川崎F相手に戦い抜いて勝ち点1を手にした意味を語った。対する川崎Fの鬼木達監督は、試合後にこう語っている。

「選手は5連戦目という中でも前半からアグレッシブに戦ってくれました。だからこそ勝って終わりたかった。1点では、何かが起きてしまうということが出たゲームでした。ここをしっかり反省して次につなげたいと思います。やろうとする姿勢だとか、ポジティブな面は見えたので、そこは継続してやっていきたい」

 川崎Fはこの日の結果で、開幕から12戦負けなしを達成。昨季、自らが作ったクラブ記録を更新した。指揮官は連戦を無敗で乗り切った選手たちを評価しつつも、勝利をつかめなかった反省も口にした。

 ともにチャンスがあり、戦う意欲も90分間、失われることはなかった。見せ場があり、『戦い』があった好ゲーム。首位川崎Fにとっては気持ちを引き締め直す引き分けで、連敗中の広島にとっては自信を取り戻すドローゲームになった。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE


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