徳島ヴォルティスの岩尾憲は、11日の浦和戦で0-0の後半開始から途中出場。ゲームの流れを変える役割を担ったが、1本のセットプレーに屈して惜敗した。ただ負けた悔しさだけではない。キャプテンは個人的な思いも口にした。

上写真=後半のスタートから出場した岩尾憲(写真◎J.LEAGUE)

「自分たちから仕掛けることはできていた」

 悔しくてたまらなかった。ただ0-1で敗れただけではない。徳島ヴォルティスの岩尾憲にとっては、特別な一戦だった。視線の先には浦和のベンチ前で声を張り上げるスペイン人指揮官がいる。昨季まで4シーズンにわたり、徳島で指導を受けたリカルド・ロドリゲス監督だ。

「個人的な思いとしては勝ちたかったです。チームで何ができたのか、できなかったのかを整理したい。ホームでもう一度、浦和さんと対戦できる。この悔しさを忘れずに取り組んでいきたいです」

 試合後の会見上ではリカルド・ロドリゲス監督とすれ違い、少し談笑した。近況報告などをしたものの、恩師の前で見せなかったのは勝利につながるプレーだ。

 前半はずっとベンチから戦況を見つめた。7年ぶりにJ1昇格してきたチームとは思えないほど堂々としていた。1万人近くが詰めかけた埼玉スタジアム。声を出しての応援こそないが、醸し出す雰囲気はJ2にはないもの。大きなプレッシャーがかかるアウェーの地で、イレブンはハツラツとしていた。

「守備からいい判断をして、そこからチャンスもつくっていました。ボールの動かし方もよく、優位性を取れるところもあった。全体的に良かったと思います」

 ピッチに投入された後半は、相手のプレスの掛け方が変わり、少し戸惑った。パスを左右に散らして揺さぶりつつも、相手につかまる場面が増えた。ボランチでゲームをつくる岩尾も敏感に感じ取っていた。

「ボールの動かし方がぎこちなさがあった」

 無得点に終わった反省はあるが、手応えも得ている。狙いどおり、相手のサイドハーフが出てきた背後のスペースをうまく使えていたシーンもあった。

「攻守両面において、自分たちから仕掛けることはできていた」

 リカルド・ロドリゲス監督に鍛え上げられたボランチは、キャプテンらしく胸を張った。浦和に敗れて連勝は「3」でストップしたが、内容は決して悪くなかった。ゲームの主導権を握り、シュート数でも相手の5本に対して8本と上回った。

 9試合を終えて勝ち点は11。暫定ながら順位は10位につける。上々の滑り出しである。ただ、相手の研究が進んでくるシーズン中盤からが勝負。コロナ禍の影響で入国が遅れていたスペイン人のダニエル・ポヤトス新監督も、まもなく合流する。ここから新生ヴォルティスの真価が問われる。

取材◎杉園昌之


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