明治安田生命J1リーグ第8節で川崎フロンターレに挑んだサガン鳥栖。負傷者も退場者も出る難しい状況だったが、最後まで戦う姿勢は失わなかった。松岡大起は攻守に存在感を示し、この相手だからこそ見える課題も手に入れた。

上写真=松岡大起は川崎F戦でダブルボランチにした効果と課題を感じていた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月7日 明治安田生命J1リーグ第8節(@等々力/観衆9,173人)
川崎F 1-0 鳥栖
得点:(川)遠野大弥

28分の大ピンチを体で防いだのが松岡大起

「ここで勝って何かを変えてやる、と一人ひとりが思っていました」

 サガン鳥栖の松岡大起は、チームに充満していた熱情を明かした。J1第8節で立ち向かったのは、昨季の絶対王者・川崎フロンターレ。昨季は川崎Fに白星を一つも献上しなかった唯一のチームとして、鳥栖の株は上がった。その実力を今季の開幕からきっちり証明して4位につけ、ここでその川崎Fを倒すチャンスを迎えていたのだ。

 結果は0-1の惜敗。「入りから自分たちのやるべきことをやる中で、少し受けてしまったシーンはあったかな、というのは、正直な感想です」が松岡の振り返り。ただ、どうしても主導権を握られはするものの、要所は締めて前半は0-0で進めた。

 28分には絶対的なピンチ。レアンドロ・ダミアンから左に振られて小林悠の折り返しを田中碧に合わせられ、万事休す、と思われたが、カバーに入ってゴールラインギリギリで体に当てて防いだのが松岡だった。

 後半に入って57分に田代雅也が退場となり、1人少なくなってからも、バランスを整えて守備を破綻させずに攻撃の意欲も見せ続けた。だから、「きつい状況でチームとして戦っていけたのはポジティブな要素だと思います」と下を向いているわけではない。

 しかしそれでも、田代の退場からわずか8分後、ゴール前での一瞬のスキを突かれて遠野大弥に蹴り込まれてしまった。これが決勝ゴール。

「もっとひっくり返して」

 この試合ではボランチに2人を並べるシフトで臨み、松岡はその一人として島川敏郎と組んで中盤を締めた。しかしその島川が足を痛めるアクシデントで25分で交代。2列目に入っていた樋口雄太が1列下がって横並びになった。

「ボランチが1枚多い状況でビルドアップから始まって自分のところがあいてきていましたし、自分のところに相手が来るならインサイドハーフのポジションの選手に通すこともできました。キャンセルする場合に、もちろん縦もあるけどボランチ間の横パスが多くてやりやすかったです。ただ、相手を外したあとにボランチが1枚、攻撃的に出ていくことはもっと試合の中でできたのではないかなと思います」

 ボールを落ちつかせたあとに、攻撃へのパワーを欠いたことを課題に挙げた。もう一つは、より縦に速い攻撃への切り替え。

「つなぐのは強みでもあるんですけど、状況に応じてノリくん(酒井宣福)はフォワードに入って収めていましたし、(競り合いに)勝っていたので、もっと相手の嫌なところにボールを入れなければいけなかったと思います。そこもストロングポイントだったので、もっとひっくり返して、セカンドボールも拾えていたので優位性を持って効果的にボールを出せばチャンスをもっとつくれるという反省があります」

 今回は勝てなかったが、現在地ははっきり見えた。何かを変えようと燃える意欲まで失ったわけではない。

「勝ちきれなかったことで、チームとしてもピッチの中でもっと何かを変えないといけないということは感じていると思います。しっかりトライするとともに、チームとしても勝ちにこだわらないといけないと感じています」

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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