首位の川崎フロンターレにJ1通算300勝をもたらしたのは、生きのいいアタッカーの一撃だった。明治安田生命J1リーグ第8節で遠野大弥が決めた、等々力での自身初ゴール。自慢のランとフィニッシュで歓喜をもたらした。

上写真=300勝記念Tシャツを着てこの笑顔。遠野大弥が大仕事をやってのけた(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月7日 明治安田生命J1リーグ第8節(@等々力/観衆9,173人)
川崎F 1-0 鳥栖
得点:(川)遠野大弥

「自分はゴールを取る選手」

「等々力初ゴールなのでうれしいですし、何よりチームが勝つこと一番なのでうれしいです」

 ピッチに入ってたったの3分で、勝負を決めてみせた。サガン鳥栖との第8節で62分にピッチに入った遠野大弥が65分に決勝ゴール。昨年、圧倒的な強さを見せながら唯一、勝てなかった相手から、自身の移籍後ホーム初得点でクラブのJ1通算300勝という記念の白星をもたらした。

「相手が1人少なくなって間が空いているところを逃さずに行って、トラップをミスしたけどいいところに転がって、決めるだけでした」

 ジョアン・シミッチの刺すような縦パスをレアンドロ・ダミアンが戻りながら巧みにフリック、これと入れ替わるようにゴール前のスペースに潜り込んでいた遠野の足元にボールが届いた。しかし、トラップで大きく体から離してしまった。それでもあきらめずに追いかけた。相手DF2人が処理にもたついてこぼしたところを見逃さずに、倒れ込みながら相手より一瞬早く、思い切り蹴り込んだ。

「自分はゴールを取る選手」と強く自覚する。昨季はアビスパ福岡で昇格のかかる終盤に3試合連発ゴールを決めるなど、計11ゴールでブレイクした。「同じ世代の人たちが代表に行くことが刺激になっていますし、負けない気持ちでやっています」とU-24代表に入った田中碧、三笘薫、旗手怜央を意識して強気に挑む。だから、途中からの出場でも集中力を高めて、短い時間で仕事をすることができた。

「途中交代なのでフレッシュですし、どんどん前からアグレッシブにいこうと思っていました」

 自慢の武器はシュートとランニング。だから、鬼木達監督にも「特徴であるシュートを意識して入るように、ランニングが持ち味なのでその良さを表現していこうと言われました」。得点シーンはまさに、ゴールに向かう迷いなきランと思い切りの良いフィニッシュがもたらした。

「どのポジションでも結果を出せるのは僕の強みだと思っていますし、インサイドハーフになっても自分のランニングを生かしていくことはこの2週間、意識していました。こういった舞台で点を取れるのは本当にうれしいですし、もっともっと良さを出して勝利に貢献したいです」

 試合後の喜びは意外なほど控えめだったが、そこに貪欲さがにじみ出る。負けん気の強さが、王者をさらに刺激する。「等々力劇場」に新しいキャストが加わった。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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