U-24日本代表の活動から戻った三笘薫はJリーグでの活躍を誓っていた。それはU-24アルゼンチン代表とのゲームで持ち味を発揮し切れなかったという思いからだという。J1再開初戦で、その思いが爆発。2ゴールで川崎フロンターレの勝利に貢献した。

上写真=代表ウィークあけの大分戦で2ゴールを挙げ、川崎Fの勝利に貢献した三笘薫(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月3日 明治安田生命J1リーグ第7節(@等々力陸/観衆9,810人)
川崎F 2-0 大分
得点:(川)三笘薫2

悔しい思いはありました

 三笘は、3月末にU-24日本代表の活動に参加し、U-24アルゼンチン代表との2試合に出場した。1戦目は先発し、2戦目は途中出場。第1戦では独力で局面を打開し、相手ボックス内にドリブルで進入するなど『らしさ』も見せたが、その能力を存分に発揮したかと言えば、答えはノーだろう。Jリーグで日々、見せている圧倒的な力をピッチで表現することはかなわなかった。

 もちろん、周囲と川崎Fでプレーしているようなコンビネーションが確立されているわけではなく、単純な比較はできない。それでも本人にすれば、悔しい思いがあったという。代表ウィークを終えて臨んだJ1再開初戦の大分戦。試合後に心境を聞かれて、こう答えた。

「アルゼンチン相手になかなか自分のプレーができず、他の選手ができていた中で、悔しい思いはありました。相手は違いますが、ピッチ上で、Jリーグで結果を出すしかないと思ってやっていました」

 期する思いをピッチで表現すると誓っていた。そして三笘は2ゴールを記録する。1点目は前半終了間際のFKの流れからだ。脇坂泰斗の蹴った低いボールが相手守備陣に当たってこぼれた。そのボールに誰よりも早く反応すると、バウンドに合わせて右足を振り、叩きつけるようなシュートでネットを揺らした。

 2点目は後半、前向きな守備からボールを奪って決めている。レアンドロ・ダミアンが相手のバックパスに合わせてプレスのスイッチを入れ、GK高木駿にプレッシャーをかけると、その動きに連動した。ボールが下田北斗、次いで小林裕紀へと渡ったところで奪い、そのままシュートに持ち込んだ。敵将、片野坂知宏監督も「非常にダメージがあった」と語った追加点。勝利をグッと引き寄せた。

「チームメイトとの距離感はアルゼンチン戦とフロンターレではまったく別なので、うまく選択肢がある中で仕掛けられているのは大きいです。今日とアルゼンチン戦でのコンディションの差もありますし、一概には言えないが、アルゼンチンとJリーグでは足の出るスピードだったり、距離感は違うので、その点で今日は、やりやすさはありました」

 大分戦の活躍の要因とアルゼンチン戦との違いについて聞かれると、こう答えた。今回の代表活動で『違い』を認識できた。それをしっかり自分の中に取り込もみ、消化し、凌駕する術をたちまち身に付けてきたのが、三笘というプレーヤーだ。そのことは去年の活躍が証明している。

 今回のアルゼンチン戦が大きな経験となったのは間違いないだろう。だから期待する。ここから、三笘のプレーがどう進化し、いかに深化していくのか。注目せずにはいられない。


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