2021年4月3日、明治安田生命J1リーグ第7節が開催された。等々力陸上競技場では、川崎フロンターレと大分トリニータが対戦。U-24日本代表の活動を終えてチームに戻った三笘薫が2ゴールを挙げて、川崎Fが快勝。開幕から8戦負けなしとなった。

上写真=2ゴールをスコアし、勝利に貢献した三笘薫(写真◎J.LEAGUE)

■2021年4月3日 明治安田生命J1リーグ第7節(@等々力陸/観衆9,810人)
川崎F 2-0 大分
得点:(川)三笘薫2

・川崎Fメンバー:GK丹野研太、DF山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里享平、MFジョアン・シミッチ、脇坂泰斗(72分:田中碧)、旗手怜央(72分:遠野大弥)、FW家長昭博(80分:橘田健人)、レアンドロ・ダミアン(80分:小林悠)、三笘薫(80分:長谷川竜也)

・大分メンバー:GK高木駿、DF松本怜(89分:黒崎隼人)、羽田健人、三竿雄斗、福森健太、MF井上健太(69分:小林成豪)、下田北斗、小林裕紀、渡邉新太(89分:屋敷優成)、町田也真人(89分:高澤優也)、FW長沢駿(69分:伊佐耕平)

相手を見て修正、対応する強みを発揮

 前半はプレスをかけ合い、いなし合う展開になった。川崎Fは4-3-3、大分は4-4-2。川崎Fは攻めの局面で相手の中盤とDFの2ラインの間に立ってボールを動かし、ワンタッチパスを交えて一気にスピードアップしていく。対する大分は粘り強く守り、ボールを奪えば、フォーメーションのかみ合わせよって生じる数的優位を活用しつつ、ボールを前進させた。

 互いに安易に蹴り合うことはない。果敢につないで攻めの局面でそれぞれの持ち味を出す。そして守備の局面でも高い集中力でボールの回収に奔走。攻守が目まぐるしく入れ替わる展開に、等々力陸上競技場の観衆もヒートアップしていった。

 ただ、一進一退の攻防は次第に川崎Fが優勢になっていく。大分のサイド攻撃に素早いスライドで対応し、縦パスも封じて攻め手を奪うと、逆に相手の陣形を動かすボール回しでゲームをコントロールしてみせる。サイドに大分の選手たちを集めておいて逆サイドへ展開するなど、意図のあるパスワークで相手が守勢に回らざるを得ない状況を生み出した。

 そして前半終了間際に先制に成功する。39分、敵陣左サイドで得たFKの場面で脇坂が蹴った低いボールは相手DFに跳ね返されたが、こぼれ球に三笘がいち早く反応。バウンドするボールを右足で叩きつけ、ネットを揺らした。

 後半、大分は守備時に右サイドハーフの井上を最終ラインに組み込み、5バックを形成して守備の安定を図った(5-4-1)。立ち上がりこそリズムをつかんで川崎Fゴールに迫ったが、受けに回る時間も長くなり、反攻する機会が減っていく。すなわち、川崎Fが大分陣内でプレーする時間を増やしていった。

 66分、ホームチームが欲しかった追加点を奪う。バックパスを受けた相手GK高木に対してL・ダミアンがプレスをかけると、高木から下田にボールを逃がされたが、小林裕に渡った瞬間に三笘が素早くアプローチ。ボールをつついて奪い取り、そのままシュートに持ちんでこの日2点目をマークした。

 相手の変化を踏まえつつ、プレスのスイッチを入れるタイミングを探り、パスのつなぎ場所を共有して攻め込む川崎Fの試合巧者ぶりが際立ったゲーム。結局スコアは2-0のまま動かず、川崎Fがしっかり勝ち点3を手にした。

「多くのサポーターの方が足を運んでもらえることになって、チームとしては勝つということが一番の目標で、選手がそれをしっかりとやってくれたくれたと思います。(リーグ)再開というのはどのゲームでも難しい。その意味で言えば、前半から相手の狙いもありながらもアグレッシブに点を取りにいってくれたこと、ゼロに抑えたことは、選手の頑張りを評価できると思っています」

 試合後、鬼木達監督は「再開」という難しいゲームをモノにした選手たちを称えた。とくに評価したのは相手の出方を見ながらプレーを修正できる点だ。試合開始直後、大分が4バックを採用したのは想定外だったというが、選手は即座に対応。サイドを簡単には使わせず、素早いスライドでほとんど攻めさせなかった。後半に陣形を5バックに変えてきてもあわてず騒がず「変化を見極めながら」プレーして、守備に軸足を置く相手から加点。この試合では登里が今季初先発で、腰を痛めて欠場したチョン・ソンリョンに代わって丹野が今季初めてゴールを守ったが、顔触れが変わっても問題なくプレーできるのが、王者の王者たるゆえんだ。これまで通り、自らの強みを発揮して相手を凌駕してみせた。

 これで開幕から8戦負けなし。川崎Fは攻守に安定した戦いぶりで首位をがっちりキープした。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE


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