2021年3月21日、明治安田生命J1リーグ第6節が開催された。味の素スタジアムでは、FC東京とベガルタ仙台が対戦。先制を許したFC東京だが、前半のうちに逆転に成功し、終盤は相手の猛攻に遭うも集中した守備を披露。今季初の連勝を達成した。

上写真=逆転ゴールに失点を防ぐクリアと攻守に活躍したディエゴ・オリヴェイラ(写真◎J.LEAGUE)

■2021年3月21日 明治安田生命J1リーグ第6節(@味の素ス/観衆4,402人)
FC東京 2-1 仙台
得点:(F)田川亨介、ディエゴ・オリヴェイラ
   (仙)蜂須賀孝治

・FC東京メンバー:GK児玉剛、DF中村帆高、渡辺剛、ジョアン・オマリ、小川諒也、MF森重真人、三田啓貴(71分:内田宅哉)、東慶悟、FW田川亨介(64分:渡邊凌磨、90+3分:アルトゥール・シルバ)、ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン(71分:永井謙佑)

・仙台メンバー:GKヤクブ・スウォビィク、DF吉野恭平、シマオ・マテ(71分:赤崎秀平)、平岡康裕、真瀬拓海(84分:加藤千尋)、蜂須賀孝治(76分:石原崇兆)、MFマルティノス、上原力也、松下佳貴、氣田亮真(84分:アピアタウィア久)、FW西村拓真(76分:皆川佑介)

先制を許すも前半のうちに逆転に成功

 FC東京の入り方自体は悪くなかった。高い強度で『前へ前へ』の姿勢を打ち出す。だが、チャンスを得ながらも決めきれず、今季初勝利を目指す仙台に先制を許すことになった。24分の相手CKの場面。上原のアウトスイングのボールを蜂須賀にヘッドで合わされて、ゴールを献上。渡辺がマークについていたが、キックの瞬間に外されていた。

 試合の入り方については戦前から注意を払っていた。それでも先行を許したのは反省点だろう。だが、チームに動揺はなかった点も付け加えねばならない。前節の湘南戦と同様に前半のうちに逆転を成し遂げる。先制された2分後。右サイドでボールを受けた田川はアンカーの森重とワンツーしながらカットイン。ボックス手前にさしかかると、相手が寄せ切る前に左足を振り抜き、ゴール右下に豪快なシュートを突き刺した。

 長谷川健太監督も「点を取られた直後だったので、チームに活力を与えるゴールになった」と絶賛した。FC東京は終始一貫してアグレッシブな姿勢を示し、ここからさらにその姿勢を強めていった。その中でとりわけ目を引いたのが、中盤の3人のバランスだ。この日はアンカーの森重の前に三田と東が並ぶ逆三角形を形成したが、補完関係がスムーズで「良い形で中盤をコントロールしてくれた」と指揮官が振り返った通り、攻守両面で機能した。最終ラインの前で森重がことごとく縦パスを封じ、三田と東がフォローしてボールを回収。そして3人を中心にボールを展開していった。

 FC東京が追加点を奪ったのは、前半終了間際の43分だった。仙台ボールのスローインの流れからだ。オマリが競り合ったボールをD・オリヴェイラが下がりながら胸で東に落とし、再び受け取ると、シマオ・マテの股を抜いてボックス内に進入。迷わず右足を振り抜いて、ゴール右隅へ蹴り込んだ。「シマオのアプローチがペナルティーエリアの外であるなら、もう少し幅をもって体をぶつけるべきだった。D・オリヴェイラは速かったんですけど、スリッピーなピッチを利用したのは彼のうまさ。寄せられていたら防げた失点だった」と敵将の手倉森誠監督は悔やんだが、D・オリヴェイラのうまさに加えて、FC東京全体の前のめりなプレーぶりも光った。

 ゲームの終盤になって1週間の準備期間があった仙台と中3日でこの試合に臨んだFC東京との差が出始め、ホームチームが押し込まれるむ時間帯も訪れた。アディショナルタイムにはCKから加藤にヘディングを決められ、ポストの内側に立っていたD・オリヴェイラがギリギリでクリアするなどピンチを招いている。ただ、最後まで集中力は切れなかった。体を張り、ゴールにカギをかける。前節の湘南戦では一度追いつかれることになったが、この日は前半に得たリードをしっかり守り切った。

「前半の立ち上がりから非常によく、内容も悪くなった。先制されましたけど、落ち着いてゲームをコントロールすることができたと思います。その中で逆転することができました。最後は少し危ない展開になりましたけど、勝ち切ったのは、よく選手たちが頑張ってくれたと思います」

 今季初の連勝を達成した長谷川監督はそう言って選手を称えた。これでリーグ戦は6試合を終えて3勝2分け1敗。順位は6位。スタートダッシュというわけにはいかなかったが、「徐々にチーム状態は上がってきています。結果もそれに伴ってついてくるようになった。ルヴァンカップをはさみますが、4月は好調なチームと当たるので、そこで東京らしいサッカーを表現していきたいと思います」と手応えを口にした。

 対する仙台の手倉森監督も敗れはしたものの、内容を評価。「仕切り直しの意味を込めた試合で、最初に点を取れたということは良かった。警戒していたFC東京のストロングの部分、強い個にやられたのは反省材料ですけど、失点を引きずって失点してしまうことははなかった。なおかつチャンスをつくれて、よもや勝ち点1を取れそうな展開、もしくはひっくり返すような展開に、持って行けるようになった。それはチームの変化」と収穫を強調した。

 代表ウイークに入るため、この試合でJ1は小休止。来週末にはルヴァンカップを控えるが、両チームとも4月3日の再開に向けて準備を進めることになる。FC東京はアウェーで名古屋戦、仙台はホームで神戸戦に、それぞれ臨む。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE


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