川崎フロンターレが開幕2連勝を飾った3月3日のセレッソ大阪戦で、新チームでのリーグ戦デビューを飾ったのが塚川孝輝だ。64分からピッチに入ってアンカーへ。このポジションは昨季、大学の後輩、守田英正が務めていた。不思議な縁だ。

上写真=勝利で締めくくってこの爽やかな笑顔。塚川孝輝がリーグ戦デビューでアピールした(写真◎小山真司)

「いまは周りの人に助けてもらってばかり」

 川崎フロンターレでのリーグ戦デビューは、逆転直後にやって来た。三笘薫がセレッソ大阪に対して3-2とする鮮やかな一撃を見舞ったのが62分、塚川孝輝はその2分後にジョアン・シミッチに代わってピッチに入った。そのまま、シミッチがいたアンカーへ。

 1点リードで残りはアディショナルタイムを含めても30分ほど。ただ、いわゆる「クローザー」とは少し違うかもしれない。川崎Fの場合は、最後の最後までゴールを狙い続けるスタイルだ。だから、守備に強みのある塚川であっても、相手からボールを奪って前へ前へ、が与えられたタスク。

「勝利に貢献できたことが本当に一番うれしく思いますし、自分もそこがほしかったので目に見える結果として戦えたのが良かった」

 チームはこれで開幕2連勝。松本山雅FCから今季移籍してきた塚川にとって、最初の試合で勝利の一員になり、一安心だ。

 ガンバ大阪と戦った2月20日のFUJI XEROX SUPER CUP 2021 ですでに「川崎Fデビュー」は果たしているが、64分にピッチに出ていきながら頭を強く打ち、脳しんとうの疑いで90+1分に交代を余儀なくされた。そこから復帰したこの一戦で勝利に貢献できたことが、何よりうれしかった。

「キャンプからいろいろなことをみんなに教えてもらって、少しずつ馴染めてきていると思います。でも、やっぱりそれ以上のプレーを目指しています。いまは周りの人に助けてもらってばかりですけれど、自分から発信できるようにしていきたい」

 一番見習いたい選手は、もうこのチームにはいない。

「去年のフロンターレの試合を見て、守田英正選手を目標というかお手本にしているので、それ以上の選手になれるように目指してやっています」

 昨年、アンカーとしてチームの大黒柱だった守田は、このオフにサンタ・クララ(ポルトガル)に移籍した。塚川にとって守田は、流通経済大の一つ後輩に当たる。

「ヒデは本当に人懐っこい後輩だったので、よく話しましたしかわいがっていました。自分がいるときはサイドバックで、足元の技術もあってすごく体も強かったんです。フロンターレに入ってすごく成長してびっくりしました。本当にすごいなと思っています」

「憧れの弟分」が抜けた穴を、先輩である塚川が埋めるのも何かの縁だろう。

「ボール奪取は負けちゃいけないと思いますし、求められているところです。さらに突き詰めないといけないし、奪ったあとのプレーも成長していきたいと思います」

 78分に絶好機があった。左から三笘が持ち上がり、相手を引きつけて中央へ。塚川がペナルティーエリアの中まで飛び出していって、ワントラップから、左足でフィニッシュ、という一連のテンポはスムーズだったが、インパクトの瞬間にやや引っ掛けるような形になってGKの正面に飛んでいき、難なく収められてしまった。

 次の瞬間、自分のポジションであるDFラインの前に全速力で戻る姿が印象的だった。

「(ゴール前に)入っていくところも自分の良さだと思っています。ただ、入ることができる選手は多くいる中で、決めきるのが課題になってきます。あそこは決定的な場面だったので、決めきれなかったところはまだまだだと思っています」

 初ゴールはお預けとなったが、いまはこのチームのスタイルを体の染み込ませることに集中している。

「ポジショニングを考えたり、守備に関しても攻撃に関しても真ん中でどういう動きをしなければいけないか、常に考えさせられています。まだダメなところがあるので、後ろから(谷口)彰悟が声をかけてくれたり、横や前にいる(田中)碧やヤス(脇坂泰斗)も教えてくれて助けられています。早く自分のポジショニングを見つけたいと思います」


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