新生・浦和レッズを象徴する一人が、大卒ルーキーの伊藤敦樹だ。J1開幕戦となったFC東京との一戦で、ボランチとして登場すると、安定したプレーぶりでフル出場を果たした。手応えを十分に感じた90分で見えた景色とは?

上写真=阿部勇樹(左)のゴールをともに祝う伊藤敦樹。上々のデビューだ(写真◎小山真司)

■2021年2月27日 明治安田生命J1リーグ第1節(@埼スタ/観衆4,943人)
浦和 1-1 FC東京
得点:(浦)阿部勇樹
   (F)森重真人

「もっともっと定着して中心選手になっていきたい」

「夢がかなってうれしい気持ちと、やってやろうという気持ちが入りました」

 浦和レッズユース出身、流通経済大経由、浦和のトップチームで初出場! 伊藤敦樹が2021年のJ1開幕戦で堂々のプロデビューを果たした。

 リカルド・ロドリゲス監督のお眼鏡にかなったルーキーは、17歳年上の大先輩、阿部勇樹と並んで中盤の底に立った。リカルド流フットボールではこのポジションの選手にゲーム全体をデザインし、コントロールし、テンポを変えていく重要なタスクが与えられる。

「前半は緊張もしてボールタッチのところで簡単なミスもありましたが、攻撃でサイドを変えるボールも思ったより通すことができました」

 まずは及第点というところだが、デビュー戦で心強いのは、やはり先輩たちの存在だった。

「自分もバランスを気にしているのですが、ダブルボランチで阿部さんが気を使ってくれてバランスを取ってくれるので、僕はポジションを取るのに気を使わないでできています。後ろの4人(宇賀神友弥、岩波拓也、槙野智章、山中亮輔)も経験がある選手ばかりなので、声をかけながらやってくれてやりやすい感じです」

 こうしてデビュー戦でフル出場を果たすのだが、悔やむのは「後半はゴールに直結するプレーができればよかった」と嘆いた攻撃の部分。33分に思い切りよく放ったミドルシュートがDFに直撃するシーンはあったが、シュートはこの1本。さらに攻撃にリンクしていく必要がある。

「監督からも前に入って行けと言われています。阿部さんが後ろに残ってくれるので出ていかないといけないですね。(33分のシーンも)あのシュート1本を決める精度をつけていきたい。ゴールに直結するプレーを増やしていきたい」

 阿部が先制したものの、相手にセットプレーから追いつかれて「デビュー戦白星」を手にするチャンスをフイにした。

「開幕戦に向けてキャンプから積み上げたものは、攻撃でも守備でもだいぶ出すことができていて、自分の中で手応えがありました。相手のセットプレーでも、しっかり守りきって勝ちきるのはこれからも課題になってくるのかなと思います」

 プロ初勝利へ。そしてその先へ。

「開幕スタメンはキャンプから目標にしてきて、達成できたのはよかったです。もっともっと定着して中心選手になっていきたい」

 浦和の次世代を担う決意を語るナンバー17。この男のデビュー戦を見ることができた人は、幸せかもしれない。

取材◎平澤大輔 写真◎小山真司


This article is a sponsored article by
''.