2020年に圧倒的な優勝を誇った川崎フロンターレが、さらなる進化を目指している。今季の補強の目玉となったジョアン・シミッチがその主役になるだろう。キャンプ地で語ったのは、青黒のユニフォームで戦う意欲。

上写真=赤から青黒へ。ジョアン・シミッチが新天地でその能力を存分に発揮する(写真◎KAWASAKI FRONTALE)

「たくさんの選手の技術の高さに驚きました」

 ユニフォームの色が赤から青黒に変わったように、プレースタイルのまったく異なる場所を新天地に選んだ。名古屋グランパスから川崎フロンターレに移籍したのは、MFジョアン・シミッチ。川崎Fの今季最大級の補強である。

「名古屋はより守備的な戦術で、練習でも守備に重点を置いてトレーニングしていました。攻撃に関しては後ろで奪ってカウンターアタックを仕掛けるスタイルです」

「フロンターレのディフェンス面では激しくて強度を上げてプレスをかけていくところを、いますごく感じています。攻撃面に関しては技術の高い選手たちを生かしてボールポゼッションしながら、積極的に前に出ていくと思います」

 この色の違いに、戸惑いはない。

「フロンターレに来てみて、たくさんの選手の技術の高さに驚きました。少しでも早く自分もその中で、フロンターレのリズムでできるようにしていきたいと思っています」

 昨季、圧倒的優勝を果たしてから、川崎Fも変わりつつある。何より、2020年に採用した4-3-3システムで肝になっていたアンカーの守田英正がサンタ・クララ(ポルトガル)に移籍したのだ。

 しかし、その欠損が危機的なものとして考えなくても済むのは、シミッチが加わったから。マッシモ・フィッカデンティ監督の下で戦った昨季は24試合中、先発は9試合のみでベンチスタートが多かったが、その前に風間八宏監督が指揮を執っていた2019年の9月まではその技術と広い視野、自慢の左足で中盤を制する存在だった。川崎Fも技術という風間イズムを受け継ぐチーム。合わないわけはない。

「フロンターレのユニフォームを着てピッチで表現したいと思います。パス、技術を最大の特徴として見せたいですね。自分の持っているものを出し切れるように頑張っていきたい」

 4-3-3をベースに戦うなら、中盤ではアンカーとインサイドハーフのポジションがある。

「私はフロンターレの力になるために来ました。ここには2つの役割がありますが、自分の特徴を生かせるのはアンカーの方だと思っています。ただ、そのどちらでもチームの力になれるように、もっともっと吸収しながら頑張っていきたい」

 物静かな語り口と堅実な言葉に、実直さがうかがえる。対照的に、ピッチでは激しく守り、華麗にパスを配って雄弁だ。

 最強フロンターレの進化系は、シミッチがつくり出す。


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