初のグループステージ突破を決めていた横浜F・マリノスが、まさかの逆転負けを喫した。20分にエリキが先制ゴールを挙げたものの、なかなか調子が上がらずに3連続ゴールを浴びた。オナイウ阿道が1点を返したが、そこまでだった。

上写真=20分に鮮やかな先制ゴール。決めたエリキを中心に笑顔が広がったが…(写真◎Getty Images)

■2020年12月7日 ACL決勝トーナメント1回戦
(リモートマッチ/@カタール・ハリファ インターナショナル スタジアム)
横浜FM 2-3 水原
得点:(横)エリキ、オナイウ阿道
   (水)キム・テファン、キム・ミヌ、ハン・ソクジョン

・横浜FMメンバー◎GKオビ・パウエル・オビンナ、DF松原健、チアゴ・マルチンス、畠中槙之輔、ティーラトン、MF喜田拓也(78分、和田拓也)、扇原貴宏(84分、オナイウ阿道)、マルコス・ジュニオール(78分、天野純)、FW仲川輝人、エリキ、高野遼(78分、前田大然)

・水原メンバー◎GKヤン・ヒョンモ、DFチャン・ホイク(90+2分、ク・デヨン)、ヤン・サンミン、パク・デウォン、MFキム・テファン、ハン・ソクジョン、イ・キジェ、パク・サンヒョク(39分、キム・ガニ)、キム・ミヌ、FWイム・サンヒョプ(88分、チェ・ソングン)、コ・サンボム

「甘さが出た」

「完全に相手にやられたから、しょうがないね、という結果ではまったくなかったと思います。自分たちが前半で決められる試合内容でした。だからこそ、より悔しさを自分も選手も感じています。本当に残念な結果です」

 アンジェ・ポステコグルー監督のこの一言に、すべてが凝縮されているだろう。横浜F・マリノスが先制しながら水原三星に逆転負け。「自分たちのサッカー」を貫いたアジアの旅路は、理想が現実の前に屈する形で、ラウンド16でまさかのバッドエンドを迎えた。

 予想通り、水原は厳しい球際の勝負を仕掛けてきた。横浜FMはいつものようにパスでかわしたかったが、グラウンド状態が良くなくボールが弾んでなかなかリズムをつかみきれない。守備ではきっちりと5人が最終ラインに並ぶ相手に対して、横浜FMは前線の3人へのパスが引っかかり、最前線で幅を取る横浜FMがそこになかなかボールを送り込めないのに対して、水原はウイングバックが大きく開くため、低めにポイントを作ってからペースをつかむことができていた。

 そんなもどかしい流れに風穴を開けたのが、20分。相手のサイドチェンジがミスとなって収めた松原健がすかさず中盤の喜田拓也へ。右前にミドルパスを送ると仲川輝人が折り返して、中央に突っ込んできたエリキが押し込む電光石火の一撃。ほしかった先制ゴールを手に入れた。

 悔やまれるのは、あと3点は決められるビッグチャンスがあったこと。3分に左からのクロスに合わせた仲川のシュートはわずか右へ。33分にはカウンターから仲川の右からのセンタリングにフリーでマルコス・ジュニオールが合わせたが右へ。40分には自陣からエリキが独走して右から左に切り返し、GKと1対1になって左足で狙ったが左へ。

 後半に入るとむしろボールを安定して動かしていったのは水原の方。横浜FMのお株を奪うようなパスで主導権を握られ、じわじわと押し込まれていく。すると57分、つなぎのミスから奪われて一気に横浜FMの左に展開され、キム・テファンにカットインから左足で強烈に叩き込まれてしまう。この同点ゴールでさらに勢いづいた水原に、時間を追うごとにフィジカルで劣勢を強いられていく。

 78分には逆襲をかけて3人を一気に投入、和田拓也、天野純、前田大然を入れてゴールを狙いに行くが、あざ笑うかのように82分にキム・ミヌにキム・ガニとのワンツーで中央を割られて蹴り込まれ、逆転弾を食らうという悪循環。これでさらにオナイウ阿道を送り込んで攻めるが、87分にはセンターサークルの中からハン・ソクジョンにおよそ50メートルのロングシュートを決められて1-3とされた。

 91分には右からの天野純のクロスに、うまくDFの背中を取ったオナイウ阿道がダイビングヘッドで押し込んで望みをつないだが、ここまで。

 クラブ史上初めてグループステージを突破して歴史を作ったトリコロールの戦士たちは、「自分たちのサッカー」を最後まで貫きながら、わずかにゴールが足りずに大会を後にした。


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