ヴィッセル神戸がAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド16、上海上港戦に臨んだ。序盤から攻守両面で相手を上回った神戸は前半にイニエスタが先制し、後半に西大伍が加点。理想的な試合運びで8強の扉を開いた。

上写真=先制点を決めて古橋と抱き合うイニエスタ!(写真◎Getty Images)

■2020年12月7日 ACLラウンド16
(リモートマッチ/@カタール・ハリファインターナショナル・スタジアム)
神戸 2-0 上海上港
得点:(神)アンドレス・イニエスタ、西大伍

・神戸メンバー:GK前川黛也、DF山川哲史、菊池流帆、トーマス・フェルマーレン、酒井高徳、MF山口蛍、郷家友太、アンドレス・イニエスタ(68分:安井拓也)、FW西大伍(88分:小川慶治朗)、ドウグラス(90+2分:藤本憲明)、古橋亨梧

・上海上港メンバー:GKチェン・ウェイ、DFウェイ・ジェン、ヘー・グアン、ユー・ルイ(46分:アーロン・ムーイ)、ワン・シェンチャオ、MFヤン・シーユエン、ムレヘマイティジャン・モザパ(46分:チェン・ビンビン)、ルー・ウェンジュン、オスカル、FWリー・シェンロン、リカルド・ロペス(58分:フー・フアン)

理想的な展開で勝利をつかむ

 中盤でビルドアップにかかわり、相手最終ライン狙ったパスを何本も送っていたイニエスタが、その瞬間、自ら受け手となった。31分、ゴールに背を向けて山口の縦パスをボックス内で受けると、右に細かくボールをつついてシュートコースを作り、左足を振り抜く。相手GKに触れられたものの、ボールはそのままゴールの中へ転がった。

 戦況を見極め、相手の穴を見つけて、スコアを動かしたイニエスタの判断とプレーはさすがの一言。そしてそれにしっかり反応した神戸のチーム力もまた見事だった。イニエスタにボールが入る瞬間、西が相手DFを引っ張る動きを見せ、シュートの直前にはドウグラスが相手GKの眼前を横切って見えにくくしていた。

 イニエスタのプレーは確かに際立っているが、神戸がチームとして戦えているからこそ、その存在も生きている。この日は試合開始直後から攻守両面で神戸が上海を上回っていった。ビルドアップでは相手のプレスをかいくぐり、テンポよくパスをつなぐ。ボールをロストすれば素早い攻守の切り替えてすぐさまボールの回収に向かい、相手の攻撃を妨げる。三浦淳寛監督が戦前から話していた通り「攻守両面で連動して戦う」ことができていた。

 1-0のまま前半を終え、迎えた後半、相手は選手を二人かえ、攻めに圧力をかけてきた。しかし、神戸は慌てなかった。選手の間、間でボールを受けてははたき、ポゼッションしてペースを渡さない。そして上海の攻め気を逆手に取って、追加点を挙げてみせた。

 50分、左サイドでボールを受けたドウグラスのクロスに古橋が飛び込むも打ち切れず、自ら左サイドに持ち出して、今度はその古橋が中央へクロスを入れる。右サイドから絞っていた西が飛び込んで相手DFよりも先に右足を伸ばしてボールに触れ、ネットを揺らした。勝利をグッと引き寄せる貴重な2点目だった。

 その後、神戸はイニエスタが負傷で交代するアクシデントもあったが、攻め手を強める相手にも、うまく対応して時計の針を進め、2ー0のまま試合をクローズさせてみせる。まさに、完勝というべき内容。神戸が勝つべくして上海に勝った。

「難しい試合になりましたが、選手たちがチームコンセプトのもとで気持ちに入ったプレーでしっかりと勝利を勝ち取ってくれました。神戸で応援してくれているファン・サポーターの気持ちも選手に届いています。少し、イニエスタの足の状況は心配ですけども、また次の試合に向けて準備していきたい」

 試合後、三浦監督はすでに準々決勝へと目を向けていた。ACL初出場にして8強進出を果たしたが、まだ何も成し遂げてはいない。アジアの頂まであと3勝。神戸が目指す場所は、明確だ。


This article is a sponsored article by
''.