11月29日、明治安田生命J1リーグ第30節が開催された。ヤンマースタジアム長居ではセレッソ大阪と横浜FCが対戦。互いに堅い守備を見せる中、柔軟性に富むC大阪が1点を奪って勝利。新型コロナの濃厚接触疑いにより下平隆宏監督が自主隔離中の横浜FCを下した。

上写真=先制ゴールを挙げたブルーノ・メンデス(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月29日 J1リーグ第節(観衆7,365人/@ヤンマー)
C大阪 1-0 横浜FC
得点:(C)ブルーノ・メンデス

・C大阪メンバー◎GKキム・ジンヒョン、DF松田陸、マテイ・ヨニッチ、木本恭生、丸橋祐介(52分:豊川雄太)、MF片山瑛一、奥埜博亮、藤田直之、坂元達裕、奥埜博亮、FW清武弘嗣(85分:柿谷曜一朗)、ブルーノ・メンデス(77分:瀬古歩夢)

・横浜FCメンバー◎GK六反勇治、DFマギーニョ(80分:安永玲央)、田代真一、小林友希、袴田裕太郎(87分:伊野波雅彦)、MF松浦拓弥(80分:中山克広)、瀬古樹、手塚康平、齋藤功佑(87分:皆川佑介)、FW一美和成(65分:瀬沼優司)、斉藤光毅

相手の出方に応じて形を変える

 C大阪は状況に応じて4バックにも5バックにもなった。前節からトライしている戦い方だ。相手の出方に合わせてフレキシブルに形を変えた。試合後にボランチの藤田が説明したところによれば、4バックで失点が続いたことで、守備の安定を図るための策だった。

 ポイントは右サイドでプレーする片山の位置取り。例えば横浜FCの斉藤の動きに合わせて守備の局面では4バック+片山で5バックを形成。サイドにフタをした。一方で、攻撃の局面では片山が高い位置を取り、攻めに出る。右の片山と左の丸橋が左右の翼となって攻撃に厚みを加えていった。

 互いに譲らぬ45分間を終えて迎えた後半、C大阪がその柔軟性を存分に発揮する。52分に丸橋に代えて豊川を投入すると、豊川が前線の一角に入り、坂元は右サイドへ移った。右サイドで精力的にプレーしていた片山が左へ移動。選手のポジションチェンジによって流れを引き寄せ、攻めの圧力を強めると、61分にセットプレーから先制ゴールを記録する。

 左CKの場面。キッカーの清武の近くでボールを受け取った片山が、インスイングのボールを入れ、B・メンデスがドンピシャでヘッド。後半開始直後にもFKの流れから放ったヨニッチやB・メンデスがヘッドで狙い、相手GK六反の好守に防がれたが、ついにゴールをこじ開けた。それまで集中していた横浜FC守備陣はショートコーナーで目先を変えられ、スキを突かれる形になった。

 その後、C大阪はさらに柔軟に形を変えていく。相手に右サイドを使われていると見るや、77分にB・メンデスに代えてCB瀬古歩夢を投入。守備の局面では3人のCB(木本、ヨニッチ、瀬古歩)が中央を固め、右の松田、左の片山を加えて5バックを形成。相手の攻撃をしっかり封じた。その結果、試合は1-0のまま終了。見事に連勝を飾った。複数のポジションをこなす選手たちの利便性。そして機に臨み、時に応じて立ち位置を変える柔軟性。ロティーナセレッソの強みが存分に発揮されたゲームだったと言える。

「拮抗した難しい試合だったと思います。両チームともにチャンスの少ない試合でした。前半は支配していた時間帯もありながら、一番決定的なシーンは彼らのFKだった。キム・ジンヒョンがビッグセーブしてくれました。後半修正した点は、より早くボールを動かすこと。ブルーノがゴールを挙げたあと、良い守備をしなければならなかったのは、彼らは順位表の上でプレッシャーがなく、自信をもっていいプレーしていたから。われわれは少しナーバスになっていた」(ロティーナ監督)

 2位以内には今季の天皇杯出場権、3位以内には来季のACL出場権が与えられる。B・メンデスのゴールが決まった瞬間、常に冷静なロティーナ監督が飛び上がって喜んだのは、この試合にかける思いの表れだった。ナーバスな状況に、打ち勝ったわけだ。C大阪は現在5位だが、2位のガンバ大阪や3位の名古屋、4位の鹿島よりも消化試合が少ない。さらなる上位に食い込む可能性は十分にあるだろう。この一戦で勝ち点3を得た意味は大きい。

 一方、下平隆宏監督が新型コロナウイルスの濃厚接触者疑いのために自主隔離中の横浜FCは、代わって増田功作ヘッドコーチが指揮を執り、前半からソリッドな戦いぶりを披露した。だが、あと一歩及ばなかった。攻守のバランスが良く、チャンスもつくったが、C大阪の堅守を崩すには至らず。敵地から勝ち点を持ち帰ることはできなかった。


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