横浜F・マリノスはAFCチャンピオンズリーグ再開第2戦で上海上港(中国)との再戦に1-2で敗れた。しかし、目指すスタイルを貫いての黒星はポジティブだ、ということを喜田拓也が教えてくれる。チームを導く決意の言葉にしびれる。

上写真=悔しい敗戦にも大きな収穫があった。喜田拓也の言葉がそれを教えてくれる(写真◎Y.F.M)

■2020年11月28日 ACL第4節
(リモートマッチ/@カタール・アルジャノブ スタジアム)
横浜FM 1-2 上海上港
得点:(横)オナイウ阿道
(上)カイ・フイカン、リカルド・ロペス

「やっていることは絶対に間違いではない」

 ACLのグループステージ第4節で、横浜F・マリノスは中国の上海上港に1-2で敗れた。ここまで3連勝していたから、これが初めての黒星となる。引き分け以上でラウンド16進出が決まるゲームだったが、それも持ち越しとなった。

 上海上港とは3日前にも対戦していて1-0で勝っていたから、これで1勝1敗の痛み分けというところだが、喜田拓也はこの負けの意味を噛みしめる。

「相手は関係なくて、自分たちにとっては自分たちがやりたいサッカーを出しに行くチャレンジには変わりはありませんでした。結果だけを見れば負けましたし、相手も喜んでましたけど、自分たちで自分たちのやりたいサッカー、目指すべきサッカーを出しに行って負けたので、そこに関して後悔はありません」

 やるべきことを貫いた結果、14分と55分に失点して敗れた。ただ、オナイウ阿道が決めた21分の同点ゴールに、「目指すべきサッカー」が凝縮されているだろう。

 左でしっかりとボールを動かしながら時間を作っておいてから、和田拓也、喜田拓也、松原健と右横にテンポよくバトンをつなぐように渡すと、次の瞬間に松原と仲川輝人の狙いがシンクロした。仲川は右外から自分のマークの背中側のスペースに斜めにダッシュ、そこに松原がテンポアップしたパスを差し込んだ。これで完全に最終ラインをブレイクすると、中央ではオナイウがフリーになっていて、仲川からのセンタリングを押し込んだ。GKに当たってヒヤリとしたが、見事な同点ゴールだった。

 相手は3日前と同じように5バックでゴール前を固めてきたが、お構いなし。パスでかいくぐるのはお手の物だった。オナイウのポストワーク、仲川と前田大然というウイングの推進力とスピードを存分に生かして危険なシーンを何度も作っていった。「サッカーはいい内容でも負けてしまうこともあります」とアンジェ・ポステコグルー監督は話したが、まさしく内容で勝って結果で負けたゲームになった。

 だからこそ、極めてポジティブな黒星がサッカーの世界にはあるということに、喜田の言葉によって気づかされる。

「相手もつなぐことを放棄している感じはあって、自分たちのプレッシャーを回避するために徹底して長いボールを使ってきました。自分たちが握る時間帯は長かったですし、相手のサッカーは倒れて時間を稼いでロングボール蹴って、という感じだったので、レフェリー込みでテンポが出きらない部分はどうしてもあって、そこは自分たちでコントロールできる範囲ではないのですが、その中で最大限は尽くしたつもりです。こういう環境下でどうやって(自分たちのプレーを)出していけるかというのはまた経験値として上がったとは思うので、それをまたチームの骨格に変えていって、つなげていければ意味のある時間だったんじゃないかなと思います」

「質を上げていくだけです。やっていることは絶対に間違いではありません。この負けで自信が失われることは、まったくありません。すぐ次の試合は来ますし、マリノスのサッカーで勝ちに行くことは変わりません。チームとしてメンタル的にタフになっていけるチャレンジだと思うので、ポジティブにいきたいと思います」

 次は12月1日、韓国の全北が相手だ。この第5節に引き分け以上でグループステージ突破は決まる。もちろん、横浜FMらしい攻撃的な思想で攻めぬくつもりだ。


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