Jリーグ王者として出場しているAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で、横浜F・マリノスに3連勝をもたらした立役者の一人が、GKのオビ・パウエル・オビンナだった。自身にとってのACL初戦で大きな仕事を果たしたルーキーは、自信に満ち溢れていた。

上写真=チームメイトとハイタッチをするGKオビ(写真◎Getty Images)

■2020年11月25日 ACL第3節
(リモートマッチ/@カタール・アルジャノブ スタジアム)
上海上港 0-1 横浜FM
得点:(横)天野純

「特に焦ることもなかった」

 上海上港とのグループステージ第3節で、なかなかやって来なかった見どころが、残り10分を切ってからやってきた。

 0-0で迎えた80分、上海上港は横浜FMゴール前に人数をかけてきた。ボックス目がけて走り込んできた相手選手に松原健が対応すると、主審が笛を吹く。その指は、ペナルティスポットを指した。

 上海上港にとっては大チャンス。守るGKにとっては最悪のピンチだ。

 ゴールマウスの前に立ったのは、オビ・パウエル・オビンナ。今季より流経大から加入したルーキーだが、「ピンチが来てもいいように、という心構えでいたので、特に焦ることもなかった」。身長193センチの体で思い切り右へジャンプし、元ブラジル代表MFオスカルが蹴ったボールを弾き出した。流れを呼び込むビッグセーブを繰り出した新人GKが雄たけびを上げた10分後、チームメイトが決勝点を叩き込んだ。

 今季途中の8月に育成型期限付き移籍で栃木SCに加わり、J2で9試合に出場。10月にチーム事情で呼び戻されると、すぐさまJ1デビューを飾り、そしてACLに臨む一員としてカタールへとやって来た。

 さらには大事な再開初戦でゴールマウスを任されたが、「ビッグ」なルーキーに迷いはなかった。

「試合経験がなくて、若いと言われるけど、この時のためにこれまでしっかり練習を積んできたので、焦りや緊張はあまりなかった。本当にここで結果を残すためにやってきたと、すごく自信を持ってプレーできているので、特に焦ることなく対応できた」

 昨季Jリーグ王者の一員である自覚と、チームへの信頼が、自信の根底にある。

「このチームの強みは、誰が出ても高いパフォーマンスを出せることだと思っている。僕でも他の誰かが出るにしろ、戦力が落ちるということはない。僕が出る以上、強気にチャレンジして、ミスを恐れることなく、チームの勝利に貢献したいと思っていた」

 そのメンタリティが、勝利の女神を振り向かせたのかもしれない。チームも自身も、この勝利でさらに勢いづいていきそうだ。


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