明治安田生命J1リーグ第25節が10月31日に行われる。独走状態で首位をいく川崎フロンターレはFC東京との「多摩川クラシコ」だ。鬼木達監督はスケジュールに余裕ができた時間を利用して、細かい点をブラッシュアップしたという。

上写真=いよいよ残り10試合。鬼木達監督と選手たちはその手で優勝をつかみにいく(写真◎Getty Images)

高い基準でもう1回

 どんなに優れたマシンでも、ていねいにメンテナンスしていかないとすぐに錆びつく。川崎フロンターレの鬼木達監督は連戦のあとの「中12日」という変則的なスケジュールでできた時間を利用して、チームを「お手入れ」していった。

「全部ができたかと言うとそうではないですけど、ゴール前の崩しのところの基準に個人個人で少しブレがあるのかな、と。止める蹴るのところもそうですし、動きの質、タイミングもそう。止める蹴るの部分も受ける側のタイミングで変わってくるわけで、そこはかなり求めています。まあ、そう簡単ではないんですけどね」

 最後の一言で苦笑いにも見える表情を浮かべつつ、楽しそうでもある。圧倒的に首位を突き進みながら、大なり小なり、見えてきた反省を消していく。ようやくまとまった時間で施したメンテナンスの経過を楽しんでいるようだ。

「日頃から行なっていますけど、時間のあるときに確認しないと。それぞれが個人で違う基準でプレーしていると、チームの向上の部分が減ってしまうんです。高い基準のところでもう1回合わせていきたいと思います」

 いよいよ川崎Fのゲームも残り10試合。鬼木監督も「早いな」と感じているというが、通常のシーズンならここからどんな優勝争いが繰り広げられるかに注目が集まる季節だ。ただ今年は2位に勝ち点17差をつけている川崎Fが「いつ優勝を決めるのか」の一点に興味は絞られる。

 ラスト10のタイミングであえて聞いてみた。過去最高勝ち点、過去最高得点が狙えますが、意識しますか?

「そこはまったくしていないですね。一番は優勝することで、一つひとつ勝つために必要なことをやっていくだけです。大事なことだとは思いますけど、数字ありきではないというのは本音です」

 これまでも記録的なものに執着してこなかったから、その答えも当然のこと。しかし、そこから言葉をつなげた。

「ただ、得点のことで言うとこだわりをもっています。過去のことがどうこうではなくて、試合の中で取れるチャンスがあるなら取り続けたいんです」

「1試合3ゴール」を選手に求め続けた。だからこそ選手も攻撃の手を緩めない。そのサイクルこそ、川崎Fが試合の最後まで守りに入らない原動力だろう。現在は24試合で68得点。1試合平均は2.83点で、このペースを維持するなら96点まで上積みできる計算だ。過去最多得点は、84。2006年に川崎F自身が記録している。鬼木監督の現役最終年のことだ。

「そうなんですね。でも、そういう思いはないというか、1試合の中でどうやって勝つかを大事にしていて、もちろんチャンスがあればそうなるかもしれないけれど、目の前の1試合に勝つためにやっていきます。面白くない答えですみません」

 最後はわざわざ気を遣わせてしまったが、圧倒的優勝を果たすのであれば、花を添える数字として「100」も見てみたい。


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