明治安田生命J1リーグで首位を走る川崎フロンターレは「中12日」の真っただ中。10月31日のFC東京戦とそれ以降への準備が進むが、JリーグYBCルヴァンカップ準決勝で敗れたリベンジを狙うのがそのFC東京戦。田中碧の意欲とは?

上写真=「キッカーのキャラじゃないですよ」と笑いながらも、名古屋戦のCKについて語った(写真◎スクリーンショット)

「止める蹴る」の質が落ちていた

 連戦続きの川崎フロンターレは他クラブに比べても変則的なスケジュールになっていて、10月18日のJ1第23節で名古屋グランパスに3-0で勝ったあと、「中12日」で次のFC東京戦を10月31日に迎える。田中碧にとっても、疲れを癒やすには十分な時間だったようだ。

「まずはオフがあったので、しっかりリフレッシュして、もう1回いままでの試合で出てきた課題を自分たちでこうしよう、ああしようと話して取り組んでいます。勝っていても、個人としてもチームとしても課題はたくさんあるので、細かく直していければと思います」

 連戦中はコンディション調整に割く時間が長いから、細かなブラッシュアップに取り組みにくかった。だが、この期間でさらに進化の糸口を探ったようだ。

「守備のところで4-3-3のときと4-2-3-1のときの使い分けができるようにならなければいけませんし、どちらも試合状況に応じて瞬時にできるようにするためにいろいろと取り組んでいます。攻撃は質の部分、シンプルに言えば止めて蹴るところの質が、僕自身落ちていると感じていました。練習ができない時間もあったのでしょうがないんですけど、練習ができる間にこだわってやれればいいと思います」

 その使い分けにも関係してくるのが「三角形」だという。次節の相手、FC東京には10月7日のルヴァンカップ準決勝で0-2で敗れている。厳しく守られたという実感が強い。だからこその「三角形」である。

「スタートの配置は4-3-3ですけど、ハーフスペースに立っているときに敵のボランチに正対されることが多かったんです。そうやって相手も対策してくるので、ウイングとサイドバックとの三角形の形を変えながらやればズレは生じると思っています。その三角形で相手のボランチ、サイドハーフ、サイドバックを崩せるかどうかになるので、そこのコンビネーションが非常に大事で、そこで優位性を持てればチャンスになると思います」

 FC東京がブロックを下げて守備を重視してきたのと同じ戦いで今回も挑んでくるとすれば、セットプレーも重要な意味を持つ。そこは前節の名古屋グランパス戦を応用できるかもしれない。

 3-0で勝利を収めたこの試合はすべてセットプレー絡みでゴールを挙げていて、44分の先制点は田中の右からのCKを谷口彰悟がニアで流し、中央で三笘薫が押し込んだもの。それまでは中村憲剛がキッカーだったがここで田中にスイッチしていて、中村は試合後に「僕と碧は球種が違うので、目先を変えるためにキッカーを変えた」と明かしている。どんな違いがあるのだろうか。

「球種と言われても、分かんないです」と田中は笑うばかりだ。

「僕はキッカーではないので、用意されたものをなんとかうまくやろうとしているだけなんですよ。僕が蹴ったからというよりは、僕が蹴る場合は誰がどこに走るかをコーチ陣が準備してくれていて、僕は思い切り蹴るだけ。中が合わせてくれたんです」

「こんなことを言うと、キッカーが僕に変わったら何かやってくるんじゃないかと思われるので難しくなっちゃいますけど、言われたとおりに蹴ってるだけなんですよ。ホント、適当です」

 最後まで「キッカーのキャラじゃない」と笑ったのだが、その一生懸命さが実ったのか。「僕はカーブをかけられないんですよ。カーブをかけようとしたら(真っすぐ飛んで急激に落ちる)ドライブになっちゃう。他の人とは違うらしいんですけど、直接決めたことないので決められるようにがんばります」というあたりが、球種の違いについての答えになるかもしれない。

 いずれにしろ、FC東京にはもう負けられない。またがっちりとブロックを組んで対抗してくるだろうか。

「ブロックを組んでくる相手は、今季は開幕戦以外はなかったんですけど、来年を含めてそういうチームは増えるかもしれません。それをどうやって崩すのかは去年からの課題でもあるし、前回の対戦でできなかったことをしっかり練習できているので、どうやって崩すか共有できればと思っています。前回もチャンスはゼロだったわけではないし、質の部分や意識の部分で点は取れると思います」


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