ホームゲームながらFC東京は横浜F・マリノスに0-4と大敗した。攻守に積極的なプレーを見せたMF安部柊斗は、前半から何度もチャンスを手にしながら決め切れず。試合後には悔しさをにじませ、この敗戦を糧にすると前を向いた。

上写真=豊富な運動量で攻守両面で存在感を示した安部柊斗(写真◎Getty Images)

■2020年10月24日 J1リーグ第28節(観衆9,518人/@味の素)
FC東京 0-4 横浜FM
得点:(横)ジュニオール・サントス2、OG、エリキ

勝たなければ意味がない

 試合開始直後から、アグレッシブな姿勢を打ち出した。守備面はもちろん、攻撃面でも、安部は切れのあるプレーを披露。とりわけ、シュート意識が高かった。

 3分には相手のパスをカットしてそのまま最終の裏に飛び出してシュートを放つ。21分にはCKのこぼれ球に反応。ミドルシュートを打った。いずれもネットを揺らすことができなかったが、チームに躍動感を与えていた。前半の最大のチャンスはアディショナルタイムだ。

 自陣左サイドで自らボール奪取に成功すると、カウンターを発動。ドリブルで持ち上がって前線の永井謙佑にパスを出し、その落としをダイレクトで中村拓海に展開。中村拓からディエゴ・オリヴェイラへとつながったボールは右サイドからのクロスとなって、再びゴール中央で構えていた安部に渡った。安部はフリーでシュート。しかし、ボールは無常にもゴールの左に逸れた。左足インサイドで面をつくってコントロールしたものの、欲しかった先制点を挙げることはできなかった。

 ボール奪取とダイナミズム、展開力、そしてシュートの意識。安部の持ち味が存分に出たプレーだった。惜しむらくは、ゴールが決まらなかったこと。

「自分がシュートを打って枠外になってしまった場面は、自分のボール奪取から始まった攻撃で、ボールを呼び込み、実際にボールが来ましたが、最後は決め切れなかった」

 後半に入り、53分にも再び決定機をつかんだ。これまた安部が作った大きな展開からだ。左サイドで小川諒也からスローインを受けると、ピッチ中央でアルトゥール・シルバとパス交換し、ピッチ中央に進出。そこから右サイドの三田啓貴へ一気に展開し、自らは裏のスペースへ斜めに走り込んだ。そして絶妙のタイミングでスルーパスを呼び込むが、ボックス右から右足で放ったシュートは、腰がまわり切らずにゴール右へと逸れてしまった。

「2列目の飛び出しは相手も付きにくいので、今日自分が打ったシーンもフリーだった。自分自身も結果がほしいし、そういうところで決め切らないと、負けにもつながるし、自分の評価も上がらない。ゴールを決め切る、結果を出すのが今後は大事になってくると思います」

 自ら決定機の創出に関わり、フィニッシャーを担った。だが、ついぞゴールを生むことはできなかった。チームはその後、立て続けに失点し、敗れることになる。安部は悔しさをにじませた。

「試合の立ち上がりから東京のサッカーができていた中で、そこで点が取れなかったのが、今日の敗因。点を取れず、ハーフタイムに監督も『いいだけではダメ』だと。いくら良くても勝たないと意味がないことを今日あらためて痛感しました」

 大卒ルーキーにして、すでにFC東京の屋台骨を支える存在だが、まだまだ伸びしろもある。あらためて敗戦の意味と勝利の価値を胸に刻んだ安部は、この悔しさを糧として、さらに研鑚を積むに違いない。安部のここまでの成長を見れば、言うまでもなく、それはチームの未来にとってポジティブな要素だろう。


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