明治安田生命J1リーグで暫定2位を行くFC東京。ハイレベルなアタッカー陣が自慢の一つだが、その一人である田川亨介が好調だ。負傷から復帰後の10試合で5つのゴールに絡んでいるのは、体と頭のキレのおかげだと感じている。

上写真=髪の毛の色もさらに明るくして自分をアピールする(写真◎FC東京)

「やるべきことは変わらずに」

 田川亨介が9月5日の第14節大分トリニータ戦でケガから復帰したあと、ゴールに関連するアクションが非常に多い。10試合で5得点に絡んでいる。

 9月9日の第15節横浜FC戦ではまず、今季初ゴールで自ら復帰祝いだ。30分、右から斜めに走って中央に入っていくと、この動きを見逃さなかった高萩洋次郎から足元にグラウンダーのパス、進行方向とはやや逆に入ったのだが、これを巧みに利用して後ろ向きに270度ほどターンして、最後は右足でていねいに流し込んでみせた見事な一撃だった。

 9月12日の第16節ヴィッセル神戸戦では、50分にディエゴ・オリヴェイラからのパスをペナルティーエリア内の右深くで受けると、切り替えして自慢の左足に持ち替える。すかさず足をコンパクトに振って角度のないところからシュート、これをニアサイドでアダイウトンが軽く触って流し込んだ。

 9月20日の第17節ベガルタ仙台戦では13分の先制ゴールをアシストした。ピッチの中央付近でFKを得ると三田啓貴が素早くリスタート、受けた田川は前を向きながら右にリターンして、三田がそのまま持ち込んで左足で流し込んだのだった。

 9月30日の第29節浦和レッズ戦は37分の先制ゴールのきっかけになった。相手のミスも重なって最後は永井謙佑が押し込んだものだが、最初にGK林彰洋のパントキックに競り勝って起点を作ったのは田川だった。

 10月4日の第20節湘南ベルマーレ戦でもアシスト。78分、右の裏に出てきた品田愛斗からのパスに反応し、相手が処理にもたついたところを得意のスピードでかっさらってすぐさま左足のアウトサイドでマイナスへ、これをアダイウトンが撃ち抜いて、決勝ゴールとなった。

 ターン、切り返し、空中線、スピードと、5つのうち4つは特にそのフィジカルの能力が生み出したものだ。ただ単に強いだけではなく、ただ単に速いわけでもない。総合的にバランス良く優れたフィジカルの能力を持っていることが、田川の武器なのだ。

 そんな現在の自分を見据えて「試合に出続けているのでコンディションが良くて、キレも調子もいいですよ」と感じている。「アシストはできているところも多いので、あとはゴールできたらいいですかね」と本音も漏れるが、上記のようにゴールに絡む場面が増えていて、ということは、得点にならなかったもののチャンスに顔を出しているシーンも多い。それはまさに、キレのなせるわざだ。

「いろいろと整理できてやれているのが大きいですし、頭のところでもスムーズに試合を重ねるごとに良くなっている印象がありますね」「右でも左でも、前や後ろが誰でもあまり意識していないですし、やるべきことは変わらずに自分の色を出せると思うので、気にせずやれています」とも話して、体だけではなく頭もクリアになっている実感を明かす。

 10月10日の第21節ガンバ大阪戦は1点を追いかける63分に登場したものの、あちこちに水たまりができるグラウンドコンディションに悩まされた。

「あの状態だからできることは限られていたし、特に戦術がどうこうという試合ではなかったですね。右に入ったんですけど左の方がグラウンドコンディションが良かったし、左のアダイウトンのドリブルが効いていたので、そこに追いついてクロスに入っていけと言われていました。あんまり僕が自分で打開していくという感じではなくて、ボールに触る回数も少なかったので、ストロングは生かせなかったですね」

 その物足りなさを、次の清水エスパルス戦で取り戻したい。

「後ろからビルドアップしてくる印象がありますし、前線の外国人選手のフィジカルも強くて、個で打開してくるイメージです。でも、そこに関してはまったく負けていないですし、上回っていると思っています。フィジカルのストロングの部分を出していきたいと思います」

 5つのゴールで示した総合的フィジカルをぶつけるには格好の相手と見ている。清水は最終ラインからていねいにつないでくるが、そこにミスが生じるリスクもある。それを狙いたい。

「いままで通り、前からはめられたらどんどんはめて、僕が守備のスイッチ入れていきたいと思います」

 再び田川がゴールに絡めば、自ずと勝利は引き寄せられる。


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