明治安田生命J1リーグ第20節でセレッソ大阪は川崎フロンターレと激突。先制されたものの、奥埜博亮が素晴らしい同点ゴールを決めて追い上げた。しかし結果は、1-3の敗戦。勝ち点差が14に開いたが、それでも奥埜と仲間たちは戦い続ける。

上写真=62分に奥埜が決めた同点ゴールは技術的に難易度の高いものだった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月3日 J1リーグ第20節(@ヤンマー:観衆11,842人)
C大阪 1-3 川崎F
得点:(C)奥埜博亮
   (川)オウンゴール、レアンドロ・ダミアン、三笘薫

「ブロックを作るだけでは守れない」

 奥埜博亮の同点弾は、非常にハイレベルな技術のコラボレーションによって生まれたものだった。

 37分に不運なオウンゴールで先行を許したあと、62分の追撃の一発。相手がラインを整える間にボールを右サイドに運ぶと、奥埜は自分のポジションをゴール前に見つけた。そこに入っていったところに、右サイドバックの松田陸からピンポイントのアーリークロスが飛んでくる。このボールが最高だった。

 川崎フロンターレのセンターバック、谷口彰悟とジェジエウの間に入っていた奥埜は、このクロスのボールの勢いを殺さず、しかし巧みに角度を変えるヘディングシュートでゴール左隅にきれいに流し込んでみせた。1-1。試合を振り出しに戻した。

「(松田)陸がボールを持ったときに来るという予感がありました。ディフェンダーの間に入ったときにいいボールが来たので、浮かさないことだけを意識して狙いました」

 このあとも自分たちから仕掛けてゴールを狙う時間帯もあったのだが、83分に追加点を決められた。ここで奥埜はピッチをあとにしたのだが、直後の84分にもゴールを許してあっという間に突き放されてしまった。

「何が何でも勝たなければいけないゲームで勝ち点3を取ることが一番だったので、残念なゲームになりました」

「僕たちもボールを握りながらプレーしたいという気持ちはありましたが、全体的に見て川崎さんの攻撃の人数のかけ方や崩し方がよかったと思います」

「攻撃のときの人数をかける場所(を選ぶこと)がうまいなと思いました。数的優位を作りながら回していって、スキを見つけたらスピードアップして最後の崩しにかかってくる。ブロックを作るだけでは守れないな、と思いました」

 自身もFWとして攻撃を担う立場だから、川崎Fの見事なアタックは素直に認めるしかなかった。それだけに、最後の一言はなかなか深い意味を持つかもしれない。堅守を誇るC大阪であっても、川崎Fを封じるにはブロックを作るだけでも足りないという実感。今後、川崎Fと対戦するチームに重く響くかもしれない。

 これで残り13試合で川崎Fとの勝ち点差は14。

「勝ち点差が広がってしまって、(リーグ優勝へ)厳しい状況なのは間違いありません。でも、まだリーグ戦はあります。目の前の1試合1試合を大事にして、僕たちは毎試合勝ち点3を取っていくことしかできません。いい準備をして臨んでいきたい」

 この試合からスタジアムの収容人員の50%を上限とする観客が試合を見ることができるようになり、11,842人のファン・サポーターが集結、迫力ある拍手と手拍子で選手の背中を押した。彼らのためにも、残り試合で一つひとつ勝利を積み重ねるつもりだ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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