FC東京は30日の試合で、17年ぶりとなる埼玉スタジアムでの浦和レッズ戦勝利を飾ったが、その試合で際立った働きを見せたのが森重真人だ。出場停止明けの試合だったが、その存在感は別格。指揮官も称賛を惜しまなかった。

上写真=浦和戦で守備を引き締め、ビルドアップを安定させた森重真人(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月30日 J1リーグ第29節(@埼スタ/観衆5,623人)
浦和 0-1 FC東京
得点:(F)永井謙佑

戦術、技術うんぬんではない(森重)

 浦和レッズのエース興梠慎三を封じ込め、仕事らしい仕事をさせずに無失点勝利に大きく貢献。FC東京の森重真人は、守備に落ち着きをもたらしていた。累積警告で欠場した前節のサガン鳥栖戦は3失点を喫し、完敗。その存在感の大きさをあらためて証明する格好になった。試合後、長谷川健太監督は、守備の要に対して絶大な信頼を口にした。

「森重が戻って来て、守備を引き締めてくれた」

 出足の鋭いインターセプトからカウンターを仕掛けたかと思えば、力強いタックルで相手をはじき飛ばす。裏のスペースもしっかりフォローしていた。森重がコントロールする最終ラインには、穴らしい穴はなかったと言っていい。相手に中盤でパスを回れていたが、クロスは当然のようにはね返し、最後のシュートは体を張ってブロック。みなぎる闘志は仲間たちにも伝播した。

「戦術、技術うんぬんではない。球際のところは気持ちで戦う。それが選手たちで意思統一できていた」(森重)

 日本代表としてワールドカップも経験した歴戦の勇士の言葉には説得力がある。

 大分トリニータから移籍加入して、FC東京では11年目を迎える。浦和戦での勝利の価値をしみじみと語った。

「僕自身も初めて勝ちました。きょうはチームメイトが頼もしかった。いままで出ていなかった選手たち、若手たちもいいプレーを続けています。堂々と戦っていました。新たしい選手たちが、FC東京の歴史の1ページを刻んでくれたと思います」

 FC東京にとって鬼門だった埼玉スタジアムで浦和に2003年7月以来、17年ぶりの勝利。森重の口から出るとまたぐっと重みが増す。負の歴史に終止符を打ち、新たな物語をつくっていくのだろう。そこに森重はまだまだ必要不可欠な存在だ。

取材◎杉園昌之


This article is a sponsored article by
''.