明治安田生命J1リーグで名古屋グランパスは試合の延期があった関係で、第18節ガンバ大阪戦でシーズンの半分となる17試合を消化する。マッシモ・フィッカデンティ監督は残り半分も「厳しい感覚」を選手に求めていく。

上写真=シーズンはようやく半分。残り試合も厳しさを押し出していく(写真◎Getty Images)

「呼吸する余裕すらできない」

 マッシモ・フィッカデンティ監督の究極のチームは、監督自身が無言になったときにその姿を明らかにする。

「私がわざわざ言わなくてもできるようになったら、本当に強いチーム、負けないチーム、勝ち続けるチームになると思います」

 そのために必要なこととして、「メンタルの成長を促したい」と選手たちに求めている。

 わざわざ言わなくてもいい、というのはどんなことに対してなのか。例えのうまいフィッカデンティ監督は「呼吸すらできない試合」と表現する。

「名古屋と試合するときは呼吸する余裕すらできない、と相手が思うぐらいの厳しいチームにしたいんです。それでも相手が素晴らしくて、きつかったけれど何とか自分たちが勝てた試合だったな、というのなら、相手を褒めるしかありません。でも、名古屋とやるときには楽な試合には絶対にならないし、負かすときにはこてんぱんに、チャンスも一切与えない厳しいサッカーがしたいと思っています」

 その究極の姿を身につけるには「もっともっと厳しい感覚を持って取り組んでいかなければいけない」と、自分たちに一切の妥協を許さない。

 この力強い言葉の中に「負ける」という前提が一切ないところが、この人らしい。そんなさすがの感性こそ、まさに「厳しい感覚」を自らが率先して実践している表れなのだと理解できる。

 だから、ここまで戦ってきたチームを評価しながらも、問題点を覆い隠すことは決してしない。

「ここまでの戦いで比較すべき対象は昨年の成績だと思いますが、数字的に見てもすでに勝ち星(9勝)で並んでいます。はるかに良いシーズンを送ることができるという感覚があります。そこについては評価していいと思います。内容に関しても、もっともっと良くなっていきたいという選手の意志を感じた上で、そこに向かって近づけていると思います」

「ただ、ここまで試合の流れの中でスキを作ってしまっている時間帯があります。勝つ試合で勝てず、負けるような流れではないのに負けてしまう。その多くの試合で、こちらが心のスキを作った部分があるのです」

 そんなフィッカデンティ監督自身の分析からは、無言になるまでにはもうしばらくかかりそうな気配も読み取れるが、残り半分のシーズンで「究極のグランパス」の誕生を見ることができるかどうか、グランパスファミリーは楽しみで仕方がないだろう。


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