9日の横浜FC戦でJ1デビューを飾ったFC東京のDF木村誠二は、落ち着ていたプレーを披露し、指揮官からも及第点を得ることとなった。本人は、その90分を通して何を得たのか。試合の翌日、取材に応じ、踏み出した一歩について率直に語った。

上写真=J1デビュー戦を終えた木村誠二(写真◎J.LEAGUE)

身体能力は少し、自信があります

 驚くほどの落ち着きだった。今季初の公式戦。しかも初めてのJ1の舞台。にもかかわらず、左CBを果たした木村は違和感なくピッチに立ち、自分の仕事を全うした。

 圧巻は、その高さだ。エアバトルで負けることはなく、自らのストロングポイントも示した。結局、試合終了まで戦い抜き、勝利に貢献。十分にやれるところを証明した。

「自分は練習から上には絡んでなかったんですけど、出ることになって、自分のやれる精一杯をやろうと思って試合に臨みました。  空中戦はやっぱ1回も負けていなかったと思います。そういうのもあって、かなり手応えを感じました。ただ守備で、前に出るのか出ないのか、そういうギリギリの判断のところであやふやになりました。ピンチまではいかなくても相手のボールを持つ時間と増やしてしまう部分もあったので、そこを改善したい。あと攻撃のところでまだまだ、縦パスが少ないなと。初めてでということもあって安全に、安全にとなったので、これからはチャレンジのパスも増やしていきたい」

 アカデミー育ちのCBは今季トップチームに昇格。すでに一昨年、昨年とFC東京U-23でプレーしていたが、J1の試合にはこれまで絡んだことがなかった。ルヴァンカップにも出場機会はなく、今回のデビューには少なからず本人も驚いたという。

「去年、J3で一緒にやっていた人たちが試合に出て活躍していて、今季は連戦ということで色んな選手を回しながら戦っている。そういうのを見ていて、自分にもどこかで必ずチャンスが来るとは思っていました。ただ、センターバック5人というのは多いですし、すぐにその機会が来るとは思っていなかったんです。もちろんいつ来てもいいように普段の練習から準備はしていましたけど。思ったよりは早かったなと」

 予想より早くやってきたその機会を、木村はしっかりものにしたのではないだろうか。試合後の長谷川健太監督はこう評価していた。

「誠二が初先発ということで、周りがヒヤヒヤしていましたが、むしろ彼らのほうが危ないプレーもあって、逆に誠二は冷静にプレーしてくれて、勝つことができたし、良かったです。
 非常に落ち着いて試合に入ってくれましたし、身体能力は高いので、試合に慣れてくれれば落ち着いてもっと良いプレーをしてくれると思います」

 最初の一歩を上々のプレーで踏み出したことで、期待されるのは次の2歩目3歩目のプレーぶりだ。チームの総合力が問われるシーズンで、その力を示す機会は何度も訪れるに違いない。

「自分では体はできている方だと思っていて、高さも速さもほかの人に比べてもかなりある方だとは思っています。身体的な要素ではかなり高いところにいるのではないかと。まだまだこれからトレーニングで上げていける部分もあると思うし、そこは自分のストロングポイント。少し、自信はあります」

 CBの中で5番手を自認する木村だが、当然、序列を変えていくことにもチャレンジしていく。その強い意識こそが自身を、そしてチームを強くする。若手の台頭著しい今季のFC東京にまた一人、今後を大いに期待させる選手が現れたと言える。


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