川崎フロンターレの鬼木達監督が今季3度目の対戦となるヴィッセル神戸戦を前にオンラインで取材に応じた。チームは現在首位を快走中だが、指揮官は安心も慢心せず、さらなる成長と向上を目指している。

上写真=選手に指示を伝える鬼木監督(写真◎J.LEAGUE)

チームを貫く変わらぬ姿勢と向上心

 これまで積み上げてきたものが、しっかりピッチで表現され、結果にもつながっている。現在のフロンターレには他チーム比べても際立つものがたくさんある。一人ひとりの技術の高さに加えて、密集でも怖がらずにパスを受け、展開し、ターンしてみせる勇気。1点で満足せず2点目、3点目を取りにいくゴールへの執着心。高い位置からプレッシャーをかける強度と積極性。その戦いぶりは、首位に立つのも当然と思わせる説得力を伴うものだ。

 だが、試合を前に取材対応に応じる指揮官は毎度、課題を口にする。Jリーグ記録となる10連勝を達成しても、首位を快走していても、昨季王者に完勝したあとでも、だ。この飽くなき向上心こそが、このチームの強みなのだろう。今季3度目の神戸戦を前に行なわれた取材対応でもまた、同じだった。前節の横浜F・マリノス戦を振り返る中で、やはり課題に触れている。

「失点のところは自分たちで修正しなくてはいけないところです。ただ、そのあとでバタバタせずに、やれたことと攻撃のところでもしっかりと自分たちが強気に、(ボールを)持つところは持って、相手のハイプレッシャーを分かっていた中で逃げずにやれたというところは収穫だと思っています」

 課題を見つけ、修正に取り組み、一つ階段をのぼる。鬼木監督が就任以来、続けてきた作業によってチームは今、充実の時を迎えつつある。ただし、そのゴールは設定されていない。指揮官の考え方がよく表れている印象的な発言があった。選手の誰が出ても活躍するという好循環の理由について質問をされたときだった。

「そのために何かを特別に意識していることはないです。前も話したかもしれませんが、(選手の)競争をあおる気もない。そういうことではないと思っているので。ただ質へのこだわりとか、向上心とか、限界のないものに対して、どんどん求めていくのは大事だと思っています。それが結局、個人の力にもなりますし、最終的にチームの力となって返ってくる。なので、誰かと誰かを比較してとかではなくて、個人をどうやって伸ばしていくかとか、個人の求めているところをもっともっとと刺激を与えたいとは思います。それ以外に何かしているかと言ったら、特別何もしていないですね」

 限界のないものに対して、もっともっとと求めていく。それは個人の成長とチームの成長に関してだ。例えば、首位にいても、強さには限界はない。だから課題を見つけ、もっともっとと向上を目指す。その結果が、今の状況ということだろう。

 FWはもちろん、DF陣の得点も目立つ今季のチームについてはこんな言葉を口している。

「前線の選手は誰が出ても(点を)取ってほしいという思いはありますし、CBにしてもセットプレーというものを今年は武器にしたいというのがある。そういう意味では全員が本当に点を取ってやるんだというつもりで、ストライカーのつもりでやってほしいと選手には言っています」

 昨日よりも今日、今日よりも明日のフロンターレがクラブ史上最高であるように。指揮官の強い思いが今、成績に表れている。

 明日の神戸戦に向けてもやはり、その姿勢は変わらなかった。

「この前と同じでは同じ結果は得られないという思いはあります。気持ちの面もそうですし。前回(8月26日/J1第24節)、自分たちが2-2で内容的には負けているようなゲームをしたので、そこからリベンジという気持ちで戦った結果が、(9月2日/ルヴァンカップ準々決勝)6-0という形になりました。ただし今度は当然、違う気持ちで神戸も来るでしょう。それを受けているようでは自分たちの強みは出せない。やはり同じではいい結果は出せないと。気持ちの面だけですけど、しっかり充実させて臨みたいと思っています」

 首位に立つチームが日進月歩で向上を目指し続けている。鬼木フロンターレの成長に、限界はない。


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