川崎フロンターレの三笘薫は5日の横浜F・マリノス戦で2ゴールを挙げて、勝利に貢献した。これで通算8得点。マークが厳しくなる中でもネットを揺らし続け、フィニッシャーとしての才能を存分に示している。

上写真=横浜FM相手に2得点を挙げた三笘薫(写真◎Getty Images)

■2020年9月5日 J1リーグ第14節(観衆4,971人/@日産ス)
横浜FM 1ー3 川崎F
得点:(横)マルコス・ジュニオール
   (川)三笘薫2、家長昭博

チームメイトに感謝しかない

 三笘は横浜FM戦で、2ゴールを決めた。本人は「元々そんなにゴールを取るタイプじゃない「自分でも驚いている」と話すが、周囲に得点を期待され、相手に最大限警戒されている中で、またしても2ゴールを挙げた。しかも、この日の2得点で、J1の得点ランキングの日本人トップに躍り出た。もはやリーグを代表するフィニッシャーである。

 1点目は、得意の位置からゴールを決めた。脇坂泰斗のスルーパスに反応して相手最終ラインの裏に抜け出すと、左サイドから中央へとカットイン。コースを防ぎに来た横浜FMのCBチアゴ・マルチンスの股間にボールを通した。ボールを突きつつ、眼前のDFの重心移動と動作を見極め、そして素早い右足の振りでシュートを打った。ボールが相手に当たってコースが変わったのはラッキーだったものの、優れた技術とセンスを改めて示したゴールだった。

 2点目は、ビルドアップにしっかり関わり、攻撃の終着点にもなるというアタッカーとしての理想形。左サイドからドリブルで中央に進出し、右サイドでフリーになっていた旗手怜央にミドルパスを送る。そして自らはボックス内へ移動。旗手が相手の左サイドバック、ティーラトンの股間を通すロークロスを送ると、誰よりも早く反応し、左足を合わせた。「怜央が持った瞬間に目が合った。あそこに出せるクオリティーがある選手なんで、ボールを待っているだけで、決めることができました」とチームメイトを称えたが、作りからフィニッシュまでの淀みないプレーは、さすがにゴールを量産しているアタッカーだと思わせた。

「自分はそんなに得点を取るタイプではないですし、味方のパスのうまさやスペースを作る動き、そこが噛み合ってゴールが取れていると思います。チームメイトには感謝しかないですし、自分としてはまだまだ決め切れるところもあるので、継続してゴールを決めていきたい。(自分の)得意な形を引き出してくれるチームメイトが多いですし、そこに尽きると思います」

 本人が言うように、技術の高い選手が多く、守備から攻撃への切り替えが早い川崎Fというチームの特徴が三笘の能力を引き出しているのは間違いない。とはいえ、本人に力がなければ、こうもゴールは生まれないだろう。

 驚くべきは、その決定力だ。ここまで出場したのは12試合で、うち先発はこの横浜FM戦を含めて3試合のみ。得点の内訳をみると、先発した試合で3点、途中出場で5点を記録している。途中出場でゲームを動かす役割を担い、湘南戦や札幌戦では決勝点をスコアした。12試合で出場時間は541分ながら、68分に1点というハイペースでゴールを挙げているのだ。ちなみにルヴァンカップも4試合に出場し(先発2試合)、3得点を記録。つまり公式戦16試合で、11点という破格のフィニッシャーぶりを発揮している。

「相手はハイラインでスペースがあると、そこを狙うことはチームとして意識していました。特にサイドチェンジからのボールが多くあって、そこで仕留め切れたところもありましたが、決め切れないところもありました。2点は取れましたが、まだまだ取れた。満足はしていません。
 前節も(齋藤)学くんが活躍したり、前の選手は競争が激しいですし、結果を残すという気持ちを試合に臨んでいます」

 長谷川竜也が負傷から復帰すれば、ますますポジション争いが激化する。結果を残し続けなければいけない環境も、その成長を促しているのだろう。

「プロ1年目とか関係ないですし、大卒で23歳は若くない。チームを引っ張る意識は、もちろんあります」

 今シーズン、あと何度ネットを揺らすのかーー。三笘は、まだまだ満足しない。見ているのは、もっと高みだ。


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