明治安田生命J1リーグ第10節でヴィッセル神戸に終了間際に追いついて勝ち点1を手にした鹿島アントラーズ。同点弾はルーキーコンビで決めたのだが、アシストした染野唯月の言葉からは常勝軍団のDNAが見えてくるのだ。

上写真=染野は自信を持ってプレーすることを練習から意識しているという(写真◎KASHIMA ANTLERS)

「結果オーライですね」

 勝利に純粋で真っ直ぐで、仲間と高めあって、謙虚にひたむきに突き進んでいく。「FOOTBALLDREAM」を掲げる鹿島アントラーズの古き良き伝統が、このルーキーから匂い立つ。染野唯月は「天狗にならず、調子に乗らず、これからもひたむきに頑張っていければ」ときっぱり口にする。

 ヴィッセル神戸とのJ1第10節。61分に追加点を決められて1-2とリードされていた73分に、ザーゴ監督は4人同時交代を決断する。その1人が染野だった。

 そこから仕掛けた怒涛の連続攻撃は、アディショナルタイム4分に実を結んだのだ。右サイドからの永木亮太のクロスに、染野が長い距離をダッシュしてニアに突っ込んだのだが、これはわずかに合わない。だが、クリアされたところですぐさまオンサイドのポジションに戻って波状攻撃に備えた集中力が見事だった。ファン・アラーノからのパスを受けると、左回りに270度ほどダンスのステップのように軽やかにターンしてから中央へ横パス。これを同じルーキーの荒木遼太郎が冷静に流し込んだのだった。

「ターンしたときにシュートの選択を考えていたんです。相手が寄せてきて、でも余裕を持って受けることができていたのでパスの選択肢もあった中で、荒木を見ることができていなかったのですが、その向こうにいた(土居)聖真くんがワンタッチでシュートを打てるような優しいボールを出したんです。それを荒木がかっさらって決めたので、結果オーライですね」と笑った。

 同点ゴールをアシストした染野、決めた荒木のほかに、リーグデビューとなったGK山田大樹、82分からピッチに入っていたMF松村優太とルーキー四銃士が揃っての同点劇。小笠原満男、本山雅志、中田浩二、曽ヶ端準らの世代を彷彿とさせる頼もしい「新・黄金世代」への可能性を示すことになった。

「キャンプ前から4人でしっかり若手がチームの勝利に貢献していこうと話していたので、徐々にできているのは良かったのかなと思います」

「若手だろうがベテランだろうが関係なくチームの結果に貢献できているというのは、本当に自分たちが続けなくてはいけないことです」

 強い意志はまさしく鹿島の伝統だ。

 プロ1年目だから伸びしろしかないが、いま具体的に何を自分に課しているのか。

「自信を持ってボールを受けることを踏まえて、シュートをたくさん打つことを意識しています。若手という立場なので、ハードワークを大事にしてプレーしています」

 打つことで見える未来が、きっとある。

「まだ自分は攻撃の選手として1点しか取れていません。たくさんゴールを決めてもっともっといい方向にチームが行くように、そして個人としてもいい方向に進んでいければ」

 染野のひたむきさは、アントラーズレッドにふさわしい。


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