8月6日、鹿島アントラーズのジーコ・テクニカルディレクターがオンライン取材に応じた。前日にチームはルヴァンカップ第2節を戦い、川崎フロンターレに敗れて優勝への望みが潰えた。それでも、ジーコTDの目には、チームにとって明るい兆しが見えていた。

上写真=鹿島のトレーニングを見守るジーコTD(写真◎鹿島アントラーズ)

「それをやらなければ、何も成し遂げることはできない」

 ブラジルに帰国していた鹿島アントラーズのジーコ・テクニカルディレクターが再来日。新型コロナウイルスの影響で来日が遅れ、尚且つ2週間の隔離措置が取られていたが、8月4日に鹿島の練習に顔を出した。

「まず、明白しておかなければいけないのは、私はただ単に(ブラジルに)帰国したわけではなくて、定期的に心臓の検査だったり、ドクターに見てもらわなければいけないところもあるし、あとは治療もやっていたので、そういった目的で帰国をしていました。そしたら(新型)コロナ(ウイルス禍)の状況が始まって、それで日本に戻れなくなってしまった。高井(蘭童)通訳から、選手が自宅でトレーニングしたメニュー、合流後のトレーニングでやっていたこと、練習試合のことなど、いろいろな細かな情報をもらっていました。練習試合の映像を見させてもらったし、リアルタイムで見ることはできませんでしたが、Jリーグの映像ももらって見ていました」

 その中で、なかなか勝利を挙げることができず苦しむチームについて、気にかけていた。そして、鹿嶋に戻ってきたジーコTDは、不振にあえぐチームに、次のような印象を受けたという。

「どうしても結果が出ないというところで、今回チームに合流するにあたって見受けられたのは、自信の喪失。当然、人間なので、結果が出なければそういった部分が欠けてしまう」

 ただ、決して悲観しているわけではない。ネガティブな印象を受けた反面、「選手たちが一生懸命に新たな監督のサッカースタイルに合わせるように努力していることは見受けられる」と、ポジティブな面も見られたという。そこでジーコTDは、選手たち声をにかけた。

「攻撃的なサッカー、守備的なサッカー、カウンターを一発狙うだけであろうが、前提として、戦うというところ、闘争心、最後まであきらめないというところを出さなければ。それは、サッカーをする以前の問題であって、それをやらなければ何も成し遂げることはできないよ」

 そして、迎えた8月5日のルヴァンカップ・川崎F戦。チームは前半の失点を皮切りに、3失点。ホームで一時、0-3とリードを広げられた。だが、後半途中から投入された選手たちが奮起し、その後2点を返した。試合には敗れ、大会から敗退を余儀なくされたものの、ジーコTDには光明も見えたという。

「その一番の分かりやすい例というのは、昨日の試合に表れていたのではないかなと。0-3となったところで、入った選手たちが闘争心をむき出しにして、負けん気を示して、球際の一つひとつのバトルを制した。相手に圧力をかけ、2点、あるいは同点(3点)、逆転(4点)まで行けるような状況にまでできた。だから、攻撃的なサッカー、つなぐサッカー、守備的なサッカーをやる以前の問題として、どういうやり方をしようと、まず人間はこの意欲がなければ、何も始めることができないと」

 常勝・鹿島アントラーズの礎を築いたジーコTDは、そのように勝利を得る上で重要なことを説いた。残されたJ1リーグと天皇杯のタイトル獲得に向けて、巻き返しを図る鹿島の選手たちは、ジーコTDからこのような金言を直に受け、勝利を重ねていくことができるだろうか。


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