川崎フロンターレが6勝1分けと首位に立っている。再開後は6連勝と他を寄せつけない強さだ。8月はいよいよ9連戦という過酷な日程を迎えるが、このまま順調にトップを走れるか。主将の谷口彰悟は静かに闘志を燃やす。

上写真=新しいキャプテンとして、谷口が川崎Fを引っ張っていく(写真◎Getty Images)

「満足している暇もありません」

 いいことはいつまでも忘れずにいたい、というのは凡人の発想なのかもしれない。川崎フロンターレのキャプテンにして守備の要のセンターバック、谷口彰悟は「いい意味で7月の結果は忘れて、いいイメージを残しすぎないように」とアラートを発している。

 7月の結果、とは6連勝のこと。再開後、すべての試合で勝利を収めていて、先行逃げ切りあり、相手の戦意をくじく大量得点あり、逆転勝利ありとパターンもいろいろ。得点は20も挙げていて、11人が得点者になっている。FWはもちろん、中盤やサイドバック、センターバックと多くのポジションの選手が決め、山根視来の移籍後初ゴール、三笘薫のプロ初ゴールとうれしいエピソードのおまけつきだ。

 それを、忘れようというのだ。

 もちろん、キャプテンとして次のステップにチームを移行させるための思考だ。「厳しい戦いが続くので満足している暇もありません。常に次に向けての準備が大事です」と、真夏の9連戦で気を緩めるわけにはいかない。

 とはいえ、しっかりとゴールを奪いきって勝ち星を重ねていることは、このチームを頼もしく思う理由の一つだ。

「いろんな選手が取っているのは、またいいことかなと思います。FWで取るべき選手が取っていますし、それ以外で中盤やサイドバックも得点に絡めているのは、チームとしてやろうとしていることが出ているということです。後ろからしても点を取れる強みで楽にさせてもらっているので、助かっています」

 そんな自身も2得点。「そこのこだわりはもう一度持ちたかったし、2点取っていますけどもっともっと絡みたいと思っていますし、毎試合毎試合狙っていきたいです」と「守備の人」だけに収まるつもりはない。

 キャプテンは今年から。指名した鬼木達監督はべた褒めだ。

「自分が思っていた以上に、また本当に成長過程に差し掛かってきたと思っています。殻を破ってほしいという思いでキャプテンにしたところもあるのですが、自分のパフォーマンスがいい悪いに関係なく声をかけ続ける姿とか、いままでになかったものが見えてきています。後ろの選手は失点に絡むポジションなので大変だと思うけれど、そういう状況にあっても声を出しているのは新たな発見です。とても力強さを感じていて、このまま続けてほしい」

 当の本人が語る自信には、過不足がない。

「キャプテンとして試合に臨むことで、責任感が強くなります。特に後ろの選手となるとネガティブな現象が起きやすいポジションでもあって、そのへんはどうなのかな、と思いつつ楽しみでもあったんです。試合が始まると勝つことだけに集中してやれますし、チームが勝つために何をすべきか整理して臨めています。いい緊張、いい責任を与えてもらいながらいいゲームができていると感じています。そのおかげというのか、プレーも安定してきていると思います」

 なるべく人がなった、ということだろう。

 9連戦の初戦で激突するのは、勝ち点3差で2位のガンバ大阪だ。「攻守においてクオリティーの高い選手が揃っていて、一瞬のスキで一人で点を取る選手もたくさんいます。そこはリスペクトしつつ、寄せる距離や戻るスピードの部分は常に求めたい。そういう相手は楽しいし、だからこそ倒していきたい」

 ゴールを守って、ゴールを奪って、チームを引っ張っていく。まさにスーパーキャプテンだ。3度目のリーグ制覇へ、川崎Fはかけがえのないリーダーを手にしたのかもしれない。


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