明治安田生命J1リーグは7節までを終えて、いよいよ勝負の夏に入っていく。しかも、多くのクラブが9連戦という厳しいスケジュールだ。絶好調で首位に立つ川崎フロンターレでは鬼木達監督がどうコントロールしていくのか。

上写真=鬼木監督は他クラブが羨む陣容で勝利をつかみ取るつもりだ(写真◎Getty Images)

ガンバ大阪戦という「物語」

 ○2-1鹿島アントラーズ、○4-0FC東京、○3-1柏レイソル、○5-1横浜FC、○3-2ベガルタ仙台、○3-1湘南ベルマーレ。

 というわけで、川崎フロンターレは目下、再開後6連勝中である。

 3連戦を2セット戦うスケジュールで、1セットずつ確実に3連勝を刻むというチームの目標があって、それを見事に達成してみせた。

 その上で鬼木達監督は「ずっと言ってきましたが、ここからが本番です」と気を引き締める。というのも、8月はJ1とルヴァンカップを合わせて9連戦なのだ。これには指揮官も「経験したことのない日程ですね」と漏らすほかはない。

 そのスケジュールを確認しておくと、こうだ。

 8月1日・J1第8節vsガンバ大阪(アウェー)→5日・ルヴァンカップ第2節vs鹿島アントラーズ(アウェー)→8日・J1第9節vs大分トリニータ(ホーム)→12日・ルヴァンカップ第3節vs名古屋グランパス(アウェー)→15日・J1第10節vs北海道コンサドーレ札幌(アウェー)→19日・J1第11節vsセレッソ大阪(ホーム)→23日・J1第12節vs名古屋グランパス(アウェー)→26日・J1第24節vsヴィッセル神戸(アウェー)→29日・J1第13節vs清水エスパルス(ホーム)

 中でも12日から15日、それから23日と26日の「中2日のアウェー連戦」が大きな負担になると予想でき、現場を預かる監督としての総合的なマネジメントが問われるだろう。

 もちろん他のチームも同様の厳しさを共有するのだが、ここを突破するために鬼木監督が挙げたのは、極めてシンプルなこと。「とにかく全員で戦うというところに尽きると思うんですよね」である。そしてその意味では、川崎Fは最も理想的なクラブの一つだろう。

「うちは選手がいっぱいいるので、ポジティブで、監督としてはありがたいことだと思います」と監督も自らが言うぐらい、本当に「選手がいっぱいいる」のだ。戦い方が統一されていて、それを表現する技術を持った選手を数多く揃え、現にどこからでもどんな形でも点を奪えるチームになっている。誰もが羨む陣容を鬼木監督がこの9連戦でどう運用していくのかは、大きな見どころになるだろう。

 ここからは移動距離も増えていき、絶好調の川崎Fを引きずり降ろそうと襲いかかってくる対戦相手ばかりだ。特に、9連戦の最初に2位のガンバ大阪が待ち構えているというのは、物語としては最高だろう。勝ち点差はわずかに3だから、リーグ序盤のビッグマッチだ。さて、どう勝つか。

「相手は堅い守備と前線からのハードワークがあるチーム。自分たちがどれだけ走れるかな、というところだと思います。走りきれないとガンバに対しては勝てない」

「うちと同じくらいの戦力、個があるチームだと思います。難しいゲームになるのは覚悟していますし、その中でも成長しながら勝っていきたい気持ちが強いです」

「(5バック気味の守備を破るのは)簡単ではないと思います。一番後ろに人数がいるということは、事実としてスペースが少ないことになるわけです。自分たちでスペースを作り出すことが大事になってきます。見つけられるようにしていけば、攻撃できると思っています」

 ここから推測できるのは「走って」「スペースを作り出して」「そこを突いていく」という三段論法。そのために必要なこともまた、シンプルだった。

「ここまでの連勝は忘れて、本番はここからだと話してきましたから、夏場を全員で乗り切るということです。ガンバは力があるので、どれだけチャレンジャーになれるかが大事だと思っています」

 最初の一歩でいい結果を残せるかどうか。8月を占う重要な一戦がすぐそこまで迫っている。


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