明治安田生命J1リーグ第7節でベガルタ仙台は柏レイソルに1-5という大敗を喫したのだが、一矢報いたのが西村拓真。48分に決めた逆襲の一発は、ヨーロッパでのプレーから仙台に復帰してから初めてのゴールとなった。

上写真=西村が交代出場直後に追撃の一発を決めた(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月26日 J1リーグ第7節(@三協F柏:観衆2,500人)
柏 5-1 仙台
得点:(柏)仲間隼斗、オルンガ3、瀬川祐輔
   (仙)西村拓真

「失うものはなかった」

 逆襲への切り札だった。

 チャンスを作りながら2点を先行された前半を終えて、木山隆之監督はハーフタイムに2枚替えを決断する。「右サイドのほうが少し攻撃で自分たちのやりたいことできていなかったので、ウイングの推進力を出したいということで、右から相手陣内に持ち込むために柳(貴博)を左から右にして、西村を前にという形にしました。相手が厳しく守備をするギャップを取りにいってそこから崩したいという狙いでした」

 ジャーメイン良に代わって後半から右ウイングに入ったのは、その西村拓真である。CSKAモスクワ(ロシア)、ポルティモネンセ(ポルトガル)でプレーして、3月に帰ってきたアタッカー。木山監督はビハインドを取り返そうと、その攻撃力に託した。

 すると、直後に結果を出してみせるのだ。48分、左サイド深くに流れたボールを赤崎秀平が回収して縦に突破、ニアサイドに鋭いセンタリングを送り込むと、逆サイドから西村が突っ込んできた。少しでも先に触りだいDFがダイビングヘッドでクリアを試みるが、ボールが体の下にもぐり込むようにしてこぼれ、西村の前へ。GKごと蹴り込むような勢いで左足で叩いて逆襲への一発を決めた。これが復帰後初ゴール。

 このシーンを「失うものはなかったのでゴールだけ目指してやっていました」「クロスに対して入っていけたところが良かったと思います」と振り返ったが、実は「ゴールの予感」に突き動かされたプレーでもあったという。

「前回、久々にスタメンで出て良くなかったけれど、初めて点が取れる雰囲気がありました」「シュートすら打てなかったし、自分のウイングの生かし方を分かっていなかったけれど、それでも少しつかめた気がして、今日それが結果として出たのは良かったと思います」

 前節は左ウイングで、今回は右ウイングでの出場だったので、「前回と少しイメージが違いました」というが、「クロスに入っていくところが長所でもあるし、もっと大切にしていきたいと思います」と、予感が導いた結果に確かな手応えを感じていた。

 せっかくのゴールも「点は取れましたけど、チームとして勝てていません。勝たせられるように点を取っていきたいと思います」と、最終的に1-5で大敗したことを嘆くが、木山監督は「これまではシュートチャンスがありながら打ち切れていませんでしたが、大敗になったけれど点を取ってくれたので、次につなげてほしい。彼にとっていいゴールだったと思います」と成長の証ととらえている。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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