J1第5節で湘南ベルマーレを3-2で下して、3連敗のトンネルを抜けた柏レイソル。前節から入れ替えた6人の先発メンバーのうちの一人が、高橋祐治だ。今季加入のセンターバックが勝利を引き寄せたのが「声」だった。

上写真=湘南戦で初先発、センターバックに入った高橋が勝利に貢献した(写真◎Getty Images)

「うるさいぐらいしゃべってやろう」

 移籍後初めて、つまり今季初の先発出場を果たした湘南ベルマーレ戦で3-2の勝利。3連敗のあとのゲームに、ネルシーニョ監督は前節から6人の先発メンバーを代える大胆な策を打って臨んだが、それを支えた一人がセンターバックの高橋祐治である。

 最終ラインは古賀太陽を除く3人が初先発の「新メンバー」ということで、見る側は連係への心配もするのだが、「逆に言えば、普段出ていない選手が結果を残せばチャンスになるので、この試合に勝つことによってチーム全体がすごく活気づくし競争が激しくなる、絶対に勝とうという気持ちはより一層ありました」とシャッフルの効用を強調した。

「みんな試合に出たいという雰囲気でやっていきますし、出たら責任を持って取り組んでいます。チームとしてはいい競争が生まれていますね」

 であれば、勝利という結果に一安心、かと思えばそうではない。エースのオルンガに前半から2ゴールが飛び出して、1点を返されるものの仲間隼斗のうれしい初ゴールで突き放し、さらに1点を許すものの逃げ切った展開。

「アグレッシブに裏に蹴って、セカンドボールを絶対に拾うということはチームで徹底して話していたし、前半から前線の選手も頑張って拾ってくれたので、リズムよく入れました」と攻撃陣の守備への尽力に感謝しつつも、「結果は勝ちましたけど、2失点してしまっています。課題のセットプレーからもやられてしまったので、次の相手もそこは狙ってくると思います。ゼロに抑えていれば良かったと言えますけど、最後まで展開が分からない試合だったので…まあ、結果は良かったですけど、って感じですね」と守備の大黒柱として入った以上、二つの失点が悔やまれて仕方がない。

 ベンチスタートの試合はピッチを見ながら「声が通るのに全体的にしゃべっていないな、オレが出たらうるさいぐらいしゃべってやろう」と考えてきたという。だから、先発した湘南戦では、しゃべった。

「後ろからの声は大事です。攻撃でも守備でもスイッチが入りますから、常に意識はしています」

「守備に行かせるタイミングで『GO!』という声をかけて、プレスへの行き方や、勢いがついたと思っています」

 次節は浦和レッズ戦だ。広大な埼玉スタジアムで、音は屋根に跳ね返って響く。

「守備の人間なので、まとめる声はしっかり出したいと思います。コーチングだけではなくて活気づけるような声や、セットプレーの集中を高める声を出していきたいと思います」

 ファン・サポーターが声援を送ることができないこの状況だからこそ、「選手の声」に集中して試合を見ていくのも、新しい観戦方法だ。高橋がいつ、何を話して味方と連係し、気持ちを高めていくか。耳で楽しむサッカーも、悪くない。


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