FC東京に頼もしい男が帰ってきた。昨年末に脱臼した右肩を手術し、リハビリを続けてきたFW永井謙佑が、12日に行なわれたJ1第4節の横浜F・マリノス戦で今季初出場。復帰初戦から自慢の快速を飛ばし、チームに勝利を引き寄せた。

上写真=約7カ月ぶりに公式戦に出場したFW永井(写真◎J.LEAGUE)

■2020年7月12日 J1リーグ第4節(@日産ス:観衆4,769人)
横浜FM 1-3 FC東京
得点:(横)遠藤渓太
   (F)ディエゴ・オリヴェイラ、レアンドロ2

「自分からアクションする」

 前節、川崎フロンターレとの多摩川クラシコで0-4の大敗を喫したFC東京。スタンドで観戦していた永井は「僕たちの良さが出ない試合だった」と振り返り、この日の横浜FM戦は「原点に戻るじゃないけど、気持ちのこもったプレーをテーマにした」という。

 その言葉どおり、序盤から気迫あふれるチェイシングで圧力をかけ、ボールを奪うと自慢の快速を飛ばして相手の背後を突いた。白眉は、勝利を大きく引き寄せたチーム3点目の場面。後半開始早々、GK林彰洋からのパントキックを受けると、相手DFとの競り合いに勝って右サイドを破り、ゴール前に鋭いクロス。走り込んだレアンドロの足元にぴたりと合わせ、ゴールをお膳立てした。

「背後を突ければ絶対チャンスはできると思っていたので、その中でしっかりクオリティーにこだわって、最後はうまくレアンドロが合わせてくれた」

 得点シーン以外でも存在感は際立った。心がけたのは「自分からアクションすること」。横浜FMの守備戦術を見抜き、したたかに走り回った。

「相手には(オフサイドを狙ってディフェンス)ラインを止めようとする選手がいるので、その止めたタイミングでディエゴ(・オリヴェイラ)が出たり、違う選手が出たりするのは狙っていましたね」

 自らがおとりとなって、チームメイトの活躍を促す。この自己犠牲の精神こそ、永井の真骨頂とも言える。今季のFC東京は攻撃が手詰まりになることも多かったが、スピードスターの復帰で力強い速攻が戻ってきた。

 試合後、長谷川健太監督も「永井はチームにとって心強い存在だった。攻守においてスイッチ役になってくれるなど、あらためて彼の存在の大きさを再認識した」と称賛。復帰初戦は59分でお役御免となったが、指揮官は「今後いままでの分を取り返して、さらなる活躍を期待したい」と完全復活を楽しみにした。

取材◎多賀祐輔 写真◎J.LEAGUE


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