「アウェーで勝ち点1が取れた」と一定の評価を与えたのは木山隆之監督。1-1のドローに持ち込んだのは、アレクサンドレ・ゲデスの来日初ゴールだった。狙い通りの攻撃で1点をもぎ取って、最低限の結果は残せた。

上写真=来日初ゴールを決めて喜ぶアレクサンドレ・ゲデス(左)。これがきっかけになるか(写真◎J.LEAGUE)

「チームのためにもっと決めたい」

 試合の入りは横浜FCのパスワークを追いかける展開だった。38分に先制点を許したものの、57分にはきっちり追いついて、主導権を渡してしまったアウェーゲームをなんとか引き締めたまま勝ち点1を手土産に、仙台に帰ることになった。

 その貴重な同点ゴールを挙げたのが、新外国人選手のアレクサンドレ・ゲデス。前節の浦和レッズ戦で先発を勝ち取って、この日が2試合連続のスターティングメンバーとなった。右から蜂須賀孝治が送ったロケットのようなサイドチェンジを、寄せてきたマギーニョを弾き飛ばして収めてからゴールへ一直線、カバーに入った星キョーワァンに対してボールを右に少し動かしてタックルのタイミングを外した瞬間にゴール右に蹴り込んだ。パワーとテクニックが融合した来日初ゴールだった。

 木山監督のゲデス評は、こう。「練習でもよくシュートを決めるので、シュートを打てるタイミングでしっかり打っていくことができれば、たくさん点を取れる選手です。これで吹っ切れて、たくさん決めてくれればいいかなと思います」。決めた本人も「アウェーでビハインドの状態で同点ゴール決めることができて、勝ち点1だけどうれしいです。チームのためにもっともっとゴールを決めたい」と量産を誓う。4-3-3システムの左ウイングでプレーしたが、監督の言うようにこの一発が大きなきっかけになるかもしれない。

 同点弾を導いたのは蜂須賀のロングパスだが、これはチームの狙い通りだった。横浜FCは守備時には最終ラインに5人が並んで幅を埋めてくる。だから、スペースを消される前に空いた逆サイドを素早く突けばいい。それが成功したというわけだ。

 このシーンを蜂須賀本人が解説すると、こうなる。「相手は人に当てて守備をしてくるので、少しドリブルで打開しようと思いました。ゲレスは体が強いですし、個人能力が高いのでパスを出せばやってくれると思ってました」。一度ドリブルで相手をはがしておくことで、数的優位と視野とパスコースが確保でき、周囲が動き出しを始める時間を作れるという冷静な判断。そして、パスの受け手への信頼。それがゴールの源になった。

 もちろん、課題を見つける謙虚さも忘れてはいない。「(サイドチェンジは)得点の場面はうまく通って入りましたけど、まだまだ通せる場面でサイドに流れたり、サイドを変えなくていい場面で(同サイドの)ジャーメインを使えないときがありました。僕の判断ミスなので、そこは課題として次の試合に向けてしっかりやりたい」

 次は仙台に戻って、北海道コンサドーレ札幌を迎え撃つ番だ。

取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE


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