多摩川クラシコでFC東京に圧勝した川崎フロンターレで、攻守に存在感を示したのが大島僚太だ。大量得点の口火を切る先制点を挙げたほか、攻撃を機能させる役回りを見事に演じ、守備でも球際バトルに果敢に挑み続けた。

上写真=受けてさばいてゴールも決めた大島。出色の出来ばえだった(写真◎小山真司)

■2020年7月8日 J1リーグ第3節(@味スタ)
FC東京 0-4 川崎F
得点:(川)大島僚太、レアンドロ・ダミアン、長谷川竜也2

圧勝のきっかけに敵将の言葉あり

 スイッチが入った。2人の指揮官の言葉によって。大島が試合後に明かした。

「試合前のミーティングで、相手の狙いが『球際と切り替えだ』と相手の監督(長谷川監督)が選手に伝え、記者に対してもそう伝えているというのを聞いて、その点で圧倒しようと(鬼木)監督が言っていたので、それを体現しようと試合に臨んで良い結果につながったと思います」

 その勝負、受けて立つ! と大島が思ったかどうかは分からないが、ピッチでは物の見事に受けて立ってみせた。長谷川監督が試合前に発したコメントを、鬼木監督がチームを刺激するためにうまく使ったわけだが、実際に大島をはじめ、川崎Fの選手たちはボールの争奪戦に真っ向から臨み、切り替えの早さでは相手を圧倒していった。とくに前半は出色の出来ばえで、結果、4ゴールを集め、Jでは通算35回目となる多摩川クラシコの勝利を決定づけた。

 ゴールラッシュの口火を切ったのが、大島のゴールだった。登里享平のスローインをボックス内で受けたレアンドロ・ダミアンが、相手DFをおさえながら後方にパスを出す。そこへ大島が走り込んで右足をひと振り。ボールは勢いよくバーに当たったものの、そのままゴールに吸い込まれた。

 大島は「(前線の)ダミアンを孤立させないように考えながらプレーしていた」という。このゴールは象徴的だが、常に前線をサポートしつつ、相手の嫌なところでボールを受けてはFC東京守備陣を混乱させた。その点での貢献度も非常に高かった。

 FC東京のドイスボランチのアルトゥール・シルバと髙萩洋次郎の背後に、同じインサイドMFの脇坂泰斗と代わる代わる入り込んでは、後方からボールを引き出した。狭いエリアでボールを受ける技術と、そこから攻撃を展開する豊富なアイディア。実に効果的な振る舞いで攻撃をけん引し、FC東京の守備を後手、後手に回らせた。

 球際バトル、切り替え、組み立て、そしてゴール。攻守両面で獅子奮迅のプレーぶり。

「(この2試合の手ごたえは?)選手同士で、相手のどこをどう狙っていこうとたくさん話してそれでうまく行っている部分もあると思いますし、守備においてはチームのスカウティングで、相手のビルドアップに対する圧力のかけ方というのを明確にしてもらっているので、攻守においていいプレーができていると思います」

 4カ月前の開幕戦は引き分けたが、リーグ再開後は2連勝。好循環しているチームの中心に、大島僚太がいる。

取材◎佐藤景 写真◎小山真司


This article is a sponsored article by
''.