8日、明治安田生命J1リーグ第3節が開催され、注目の多摩川クラシコは川崎フロンターレが敵地でFC東京に、4-0と圧倒した。球際、切り替えの早さなどゲームのベーシックな部分でも技術力でもチーム完成度でも川崎Fが上回った。

上写真=チームを乗せ、一方でFC東京の心を折る先制点を決めた川崎Fの大島(写真◎小山真司)

■2020年7月8日 J1リーグ第3節(@味スタ)
FC東京 0-4 川崎F
得点:(川)大島僚太、レアンドロ・ダミアン、長谷川竜也2

・FC東京メンバー◎GK林彰洋、DF中村帆高(46分:室屋成)、渡辺剛、森重真人、小川諒也、MFアルトゥール・シルバ、髙萩洋次郎(42分:アダイウトン)、東慶悟(46分:紺野和也)、安部柊斗(61分:橋本拳人)、FWレアンドロ、ディエゴ・オリヴェイラ(79分:田川亨介)

・川崎Fメンバー◎GKチョン・ソンリョン、DF山根視来、ジェジエウ、谷口彰悟、登里享平、MF田中碧、脇坂泰斗(60分:下田北斗)、大島僚太(69分:守田英正)、FW家長昭博(60分:旗手怜央)、レアンドロ・ダミアン(84分:宮代大聖)、長谷川竜也(69分:齋藤学)

前半のうちに4-0

 FC東京戦を前に「相手がフロンターレの何が嫌かと言えば、やはりボールが取れないところだと思う」と話していた川崎Fの鬼木達監督にとっては、してやったり内容になった。相手のFC東京の長谷川健太監督が重視している『球際と切り替えの早さ』でもライバルを圧倒。川崎Fのいいところばかりが出た試合になった。

 大島僚太、脇坂泰斗のインサイドMFが相手のドイスボランチ、アルトゥールと髙萩洋次郎の背後に進入し、面白いように後方からボールを引き出していく。今季から4ー3-3を採用する川崎Fの中盤の逆三角形が、この日は完全にFC東京の中盤を凌駕した。試合の流れをつくり、何度も好機を生む。どこでボールを受けるのか、どこでパスを出すのか。大島、脇坂、そして田中はその選択に狂いがなく、相手を次第に追い込んでいった。そして開始17分、ゴールショーの幕があける。
 
 1点目は、スローインの流れからFC東京の緩慢な守備を見逃さず、L・ダミアンをポストに使って大島がミドルシュートを決めた。2点目は右サイドバックの山根視来が敵陣深くドリブルで切り込んで中央に送ったクロスをL・ダミアンが流し込んでいる。

 3点目は右サイドでボールを持った家長が、ボックス左のL・ダミアンへクロスを送り、その落としを受けた長谷川が右足一閃、ネットを揺らした。4点目は前半終了間際、ディフェンスライン裏でパスを受けた山根が右サイドからダイレクトで中に折り返し、L・ダミアンがシュート。相手DFに当たってこぼれたところ、詰めていた長谷川がプッシュした。

 フィニッシュの形はさまざまだが、いずれも川崎Fの持ち味が出たゴール。相手ボールホルダーへのアプローチ、奪ってからの早さと選択、パスによる展開と複数の選手によるフリーラン、そしてフィニッシュの精度。前半で4-0という大差をつけた。FC東京も前半終了間際に動きの重い髙萩に代えてアダイウトンを投入し、後半の頭から2枚代えで反攻のきっかけをつかもうと動いたが、この日の川崎Fには、つけ入るスキがなかった。

「クラシコということで本当に前半から自分たちらしいアグレッシブなプレーを見せくれた。前半で先制できたことがこの結果につながったと思います。今年はレギュレーションが変わったので1点、2点では何が起こるか分からない。、追加点を取りに行こうということをチームで共有しています。それがこの結果になった」

 鬼木監督は大勝の理由をこう振り返った。一方、敗れた長谷川監督は次のようにゲームを総括している。

「入りはそんなに悪くなかったですけど、1点目を取られてから気落ちしてしまった。最後のところでまだまだ甘さがある。ただ後半は選手も気持ちを出してゴールを奪いにいって、体を張ってゴールを守った。次につながる戦いができたと思います。それを序盤からやれるように、またやっていきたい」

 35回目の多摩川クラシコ(J1とJ2での対戦のみ)は川崎Fが快勝し、これで通算成績は川崎Fの16勝9分け10敗になった。

「川崎Fを叩いて勢いに乗りたい」と話していたFC東京の長谷川健太監督の思いは実らず、昨季、ホームで0-3で敗れた悔しさを1年ぶりの対戦で晴らすつもりが、昨季以上の屈辱を味わうことになった。そして「自分たちの良さをどれだけ出せるか」とゲームを見通していた鬼木監督は、狙い通りの戦いを実現。ともに今季は新フォーメーションを採用するなど、さらなる高みを目指しているチームだが、現時点の習熟度では川崎Fが大きくまさる。その差は今後、さらに広がるのか、はたまた詰まるのかーー。

 次回の多摩川クラシコは、10月31日に開催される。

現地取材◎佐藤 景 写真◎小山真司


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