2020年シーズンを戦う鹿島アントラーズには、東京オリンピックのU-24日本代表候補が複数人いる。大会の開催は来年7月に延期されたが、大会1年前、さらにJ1リーグが再開されるこの機会に、町田浩樹、上田綺世、杉岡大暉の五輪候補トリオによる鼎談(ていだん)をお届けしよう。オリンピックへの思いやそれぞれの接点、印象など、イヤーブック「KASHIMA ANTLERS YEARBOOK2020」に未掲載の特別編だ。※取材はシーズン前に実施。

上写真=再開後のリーグ戦でも、東京五輪代表としても活躍が期待される3人。左から町田、上田、杉岡(写真◎平岩享)

取材・文◎小室功 写真◎平岩享

スギが加入するのを知らなかった(町田&上田)

――今季、杉岡選手が鹿島に加入しました。

町田 僕はまったく知らなくて、それこそ(移籍の話を)聞いたのは公表される直前だから。

上田 それとなくウワサでは聞いていたけれど……。

杉岡 ほとんど誰にも言わなかったから(苦笑)。

――知らない仲ではないだけに「鹿島にいくよ」と、早めに連絡してもいいような気がしますが?

杉岡 特に深い意味はないけれど、何となく連絡しませんでしたね(苦笑)。僕自身、初めての移籍なので、多少不安がありました。でも、鹿島にはマチ君や綺世がいるから、すんなり溶け込めたと思う。

――U-24のオリンピック代表は年齢の近い選手ばかりですが、ピッチを離れたときの雰囲気はどんな感じなのですか。

杉岡 アンダー世代だからなのか、逆に年齢を気にしてしまって、わりと同じ年齢の選手同士で固まっているかもしれない。

町田 なんとなく席が決まるよね。食事のときとか。

上田 マチ君は97年生まれで、スギと僕は98年生まれ。97年の早生まれの選手もいるから、学年でいうと、僕らより2つ上の選手もいる。

杉岡 ただ、そういうなかで、僕は転々とできるタイプ。大事なのは、スムーズな人間関係なので(笑)。ほかの学年の選手にもさりげなく近づく。

町田 スギはうまいよね。ふだんは寡黙なのに(笑)。

上田 メディカルルームにいることも多いんじゃない?

町田 そう、スギは“メディカルの番人”だから(笑)。

杉岡 特にやることないからね、僕はメディカルルームでぐうたらしています(笑)

あの悔しさがあったから今があると言えるように(杉岡)

――今年1月にタイで行なわれたU-23アジア選手権に3選手とも出場しました。大会を振り返ると?

町田 チームとしても個人としても「内容と結果が伴わず」という感じだったので、悔しさが残っています。ただ、オリンピックの本番じゃなかったことが唯一の救いかなと。まだまだ挽回するチャンスがあるという意味で。

杉岡 どんなことがあっても勝たないといけない大会でした。周りから厳しく批判されたけれど、それも当然のことだと思う。この負けを次に生かしていけるかどうか、そこは僕らの頑張り次第。みんなが危機感をもって取り組んでいかないといけないです。

上田 グループステージで敗退したという事実は変えられないし、ここで何をいってもいい訳にしかならない。あの結果が、あのときの僕らの力ですからね。でも、こういう逆境的な状況はマイナスじゃない。どこまで成長できるか。それによって僕らの価値や評価も変わってくると思うので。

杉岡 あとで振り返ったとき、あの悔しさがあったから、今があるといえるようにするには、それぞれの今後の取り組みにかかっているよね。

――U-23日本代表はどのようなサッカーを目指しているのですか。

町田 基本は3バック。でも、対戦相手や試合の展開によって4バックにしたり、臨機応変な戦い方をする。そこの対応力がすごく求められているよね。

杉岡 森保(一)監督からは「どんな形になっても柔軟に戦えるようにしよう」と言われています。

町田 アントラーズでは4バック主体だけど、昨シーズンは(本職の)CBだけじゃなく、左サイドバックでもプレーしました。そういう経験は自分にとって大きかったと思う。

杉岡(3バック主体の)湘南では、左のアウトサイドや左のCBでプレーしていました。複数のポジションができるのは自分の強み。アントラーズではまた新たな戦術の下で、プレーするので、そこをポジティブにとらえてチャレンジしていきたいです。

上田 僕は複数のポジションをこなすというよりFWとしてスペシャルな役割を求められていると思う。そういう意味では、得点以上の貢献はないので、目に見える結果で、自分の存在価値を高めていきたいです。

――オリンピックの選手枠は18名。オーバーエイジの3人が加わるとなったら、ポジション争いはさらにし烈ですね。

町田 そこを勝ち抜いてこそのオリンピック出場。厳しい競争を楽しめればと思います。

杉岡 今まで呼んでもらっても、これからのプレー次第で(自分の状況が)どうなるか、分からない。候補メンバーはたくさんいるし、選手それぞれが日々、成長している。本当の意味でチャンスをつかんだ18名が選ばれるのだと思いますね。

上田 オリンピックのメンバーが発表される1カ月前に何かが変わるかもしれない。その直前の試合で何かが変わるかもしれない。もしかしたら、18名のなかに初招集の選手がいるかもしれない。そこは誰に分からないわけで……。

杉岡 選ばれるにしろ、選ばれないにしろ、今、自分ができることを、地道に、しっかりやっていくしかないと思います。

町田・上田(うなずく)

本対談は発売中の「KASHIMA ANTLERS YEARBOOK2020」の未公開部分で構成している

対談の本編は『KASHIMA ANTLERS YEARBOOK2020』に掲載しています


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