7月4日に再開するJ1。昨季2位に終わったFC東京は、柏レイソルがリスタートの相手となった。リモートマッチや交代5人制、降格なしの特別ルールの下で行なわれる特殊な形でのリーグ戦を前に、森重はまったく動じていない。

5人一気に代えられたらきつい(笑)

 柔軟に。フラットに。FC東京の最終ラインを統率する森重真人は、未曾有の事態からの再開に向けてそんな心持ちで日々を過ごしてきた。

「コロナに対する不安な部分と、経験したことのない方法でJリーグが始まるので、探り探りな部分はあるかなと。僕はワクワクするというよりは大丈夫なのかなという割合が大きいと感じています」

 再開へはやる周囲をなだめるかのように、穏やかな口調。だから、リモートマッチで観客がスタンドにいないことも、交代枠が5人に増えることも、降格なしのルールになったことも、同じ言葉でその心境を表現している。「やってみなければ分からない」。ということは、もちろん周到な準備はしつつも、やるまでは心配しても仕方がない、という意味になる。

「(無観客の試合は)やってみないと分からないので。いま言えることとすれば、声が通るので言葉遣いには気をつけようと思います(笑)」

「(交代が5人まで認められるのは)残り20〜30分で5人一気に代えられたらきついですね(笑)。でもそれも作戦の一つになるかもしれないし、センターバックも交代する可能性もあります。どう使うのかも新しい試みになるのかなと思います。でも、やってみないと分からないですね。選手層が厚く、交代で入ってくる選手が強力なチームが強いのかもしれませんが、東京も先発の11人、ベンチを含めた18人だけではなくて、いろんな選手にチャンスがあるととらえてチーム力アップが図れると思っています」

「(降格なしのルールについて)もしかしたらポジティブに捉えられるチームがあるかと思いますし、1年単位ではなく2年単位でチームを作れることになれば、今年のシーズンも長い目で見て戦うチームがあるかもしれません。おのおののチームの作戦、思惑があると思います。やってみないとどうなるか分からないですね。あくまで予想でしか話せませんが、あるチームにとってはポジティブで、あるチームにとってはポジティブな要素が少ないかもしれません」

 百戦錬磨ともなると、状況を見極めて、その上で柔軟に対応することを、当然のこととして受け止められるようになるようだ。

画像: 7月1日の練習で。超過密日程を乗り切るために、コンディションを上げていく 写真◎FC東京

7月1日の練習で。超過密日程を乗り切るために、コンディションを上げていく

写真◎FC東京

立ち返ることはできる

 練習再開からのトレーニングは「急ピッチだった」と話すが、「まずは開幕戦までにやってきたことを思い出す作業を進めてきて、もちろん微調整は多少なりとも必要なので、新しい形や配置を試してみたりというチャレンジはいくつかありました」という。

「厳しいシーズンを戦う上で同じことだけをやったり、一つのこと、一つのメンバーで戦うのは難しい。いろいろなことに対応できる準備は短い期間でしたが、できたかなと思います。新しいことにチャレンジして、新しい部分でいろんな対策をやっているというイメージですかね。4−4−2のフォーメーションは今回はやっていませんけど、みんな、ある程度分かっているので、もしもの時はそこに立ち返ることはできるかなと思います」

 再開初戦は柏レイソルが相手。昨季はJ2だったものの、ルヴァンカップのグループステージで対戦しており、1勝1敗の成績だった。もちろん、警戒は怠らない。

「J2でしっかり結果を残して、外国人選手もフィットしているイメージを持っています。かつてネルシーニョ監督の下、J1に上がってすぐ優勝したことがあるので、そんなイメージを勝手に持っているんです。J2でチーム作りをしてきて自信を深め、J1で結果を残そうと考えていると思います。昨年の試合を見ていても、外国人選手は強烈ですしね」

 その強力アタッカーを森重がどう迎え撃つかは再開マッチの見どころの一つだが、そんな柏戦を終えると、川崎フロンターレ、横浜F・マリノス、浦和レッズとの対戦が続く。一筋縄ではいかない相手ばかりだ。

「元気なうちに、そういう強豪とできるのは自分たちにとってポジティブだととらえています。自分たちが勝つことで自信を深めていければいいですから。強いチームとやってみないと分からない部分がたくさんあるので、早く課題を見つけられる方がいいと思っています」

 やはり、やってみないと分からない、のだ。そして、やってみれば、自粛期間中に33歳になった経験豊富な森重にはいろいろなことが分かるのだ。


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