浦和レッズが埼玉スタジアムにFC町田ゼルビアを迎えて戦ったテストマッチ。30分4本で行われ、ともに主力組が登場した最初の2本はどちらも浦和が0−1。練習再開後、初の対外試合であぶり出された課題を、大槻毅監督、武藤雄樹、トーマス デンが振り返った。

上写真=武藤雄樹は4本目に出場し、豪快なバイシクルショットで唯一のゴールを決めた(写真◎浦和レッズ)

〈1本目の先発メンバー〉

画像: 〈1本目の先発メンバー〉

■練習試合:浦和レッズ対FC町田ゼルビア
・30分×4本(0-1、0-1、0−0、1−0)
 合計スコア:浦和1−2町田
 得点者:【浦】武藤雄樹(4本目20分)
     【町】高江麗央(1本目10分)、安藤瑞季(2本目29分)

「内容と結果は良くなかった」

 大槻毅監督は「試合の入りが難しかった」と潔かった。6月1日に全体練習が再開されたばかりで調整途上のコンディション。Jリーグの開催プロトコルに準じて、ピッチの中でも外でも与えられた新しい決まりごと。雨の埼玉スタジアム。練習再開後、初めてのゲームは無観客。4本目に出場してこの日、唯一のゴールを決めた武藤友樹は「お客さんがいなかったので、アドレナリンが出なかったかな」と苦笑いするほど、慣れない環境ではあった。

 とはいえ、大槻監督が表情を変えずに言った「内容と結果は良くなかった」部分は、リーグ再開までの課題だ。特に主力を起用した最初の2本は、町田の鋭い出足に判断が遅れがちになり、効果的な攻め手を見いだせないままだった。

 今季の4−4−2において、この日のサイドハーフは右に関根貴大、左にマルティノスと自慢の突破力を生かしたい2人。しかし、1本目はどちらもなかなかボールに触れない戸惑いの30分を過ごした。

 2トップがレオナルドと興梠慎三の組み合わせで、ともに「裏抜け」の鋭さが魅力的。だからこそ、そちらか一方が裏ではなく手前に戻る動きで縦パスを引き出してポイントを作れれば、そこからサイドに展開する選択肢が生まれる。あるいは、サイドハーフがインサイドに受けに来れば、サイドバックが前進できる。でも、体の重さは想像以上だった。

 しかし2本目、大槻監督は「少し持ち直した」と振り返っている。

ケミストリーとシャープネス

 21分の攻めは狙いが垣間見えるシーンだった。

 ボランチの長澤和輝が最終ラインに下がってボールを持ったときに、関根が中寄りに入って相手のコンパクトな4-4-2の、最終ラインと中盤のラインの間で受ける。それを見た右サイドバックの橋岡大樹が前方に空いたスペースに出ていって、関根からのパスを引き出し、ワンタッチでセンタリング。絶妙のタイミングと高さで飛んでいったボールは、中央に走り込んだレオナルドが右足でぴたりと止めた。

 続くフィニッシュは相手に阻まれたが、関根のポジショニングと長澤の縦パス、橋岡のスペースへのダッシュとクロス、レオナルドのゴール前へのランと、それぞれの特徴がかみ合ってサイドを陥れたきれいな攻撃だった。

 こうした「いい面」とは別に、武藤は改めてプレーできたことの感謝を示しながら、こんな課題を挙げている。

「チームとしてはしっかりとした守備からの速い攻撃をテーマにしていて、今日は守備では相手をはめに行く精度、相手に怖さを与えられる勢いを課題の一つとして挙げられると思います」

「監督も、前の選手や横の選手との関係性を重視していて、テンポよくボールを回したり、いい距離感を保ってボールを奪いに行くという部分を練習で積み上げる必要があります。開幕戦ではその点でいいプレーができていたので、同じようにいいパフォーマンスを見せたいと思います」

 それを、今季加入したDFトーマス デンは「チームとしてのケミストリー」と、その部分を強化していくための「組織的なシャープネス」と表現する。

 武藤のゴールは希望の光になるだろう。4本目の20分にルーキーの武田英寿の左からのクロスを、ペナルティースポットのあたりから豪快に左足のバイシクルショットで突き刺した。「武田からいいボールが来て、ミートするだけでした」と照れたが、「今年は2トップの1人として出ることも多くなりそうで、ゴール前でポジションを取ることが多くなると思います。ああいうチャンスをどんどん決めていきたい」と引き締めた。

 再開後は連戦が続く未知の世界。この日の課題が、その道しるべになるはずだ。


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