現在、Jリーグは開幕戦を終えて中断中だが、この連載では再開後のリーグ戦でさらなる活躍が期待される各クラブの注目選手を紹介していく。連載第17回は、サガン鳥栖のMF松岡大起を取り上げる。

上写真=プロ2年目を迎えた18歳のMF松岡(写真◎J.LEAGUE)

文◎北條 聡

アカデミー出身の俊英

 新生サガン鳥栖の頭脳――いや、心臓と言ってもいいかもしれない。チーム全体に新鮮な血液を送り続ける重要な役回りが、18歳の青年に託された。この若き逸材こそ、松岡大起だ。

 先の開幕戦では中盤の底に陣取り、攻守の両輪を回す仕事を担った。敵地で守りに追われるストレスフルな状況が続いたが、最後まで集中を切らさず、黙々とタスクをこなし、川崎フロンターレの誇る中盤のタレント群にも臆せず、堂々と渡り合っている。経験豊富な実力者であっても、おいそれとできることではない。

 チームのヘソでもあるボランチは指揮官の色が出やすいポジションだろう。かつての日本代表でも監督が代わるたびにボランチの人選も変わってきた。ハンス・オフトが森保一、パウロ・ロベルト・ファルカンが浅野哲也、加茂周が山口素弘、フィリップ・トルシエが戸田和幸、ジーコが福西崇史、イビチャ・オシムが鈴木啓太、岡田武史が長谷部誠――といった具合に従来とは異なる人材を先発に抜擢し、重用してきたのがいい例だ。

 しかも、今季の鳥栖のようにボランチの仕事場がシングル(1人用)ともなれば、なおさらだろう。金明輝監督がアカデミーの礎を築いた時代、自ら熊本で見出し、U-18へ連れてきたのが松岡だ。監督の志向する攻守にアグレッシブなアタッキングフットボールの全体像を、誰よりも心得た秘蔵っ子と言ってもいい。

 あの名将ペップ・グアルディオラがバルセロナ(スペイン)の新監督に就任したときにカンテラ育ちの新鋭セルヒオ・ブスケツをピボーテに抜擢し、自身の懐刀として重用したことを思い出す。金監督にとっても、松岡は自らの哲学をピッチ上で体現する分身なのかもしれない。


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