ルヴァンカップは第1節、J1、J2も第1節を終えて中断されることになった。カップ戦、リーグ戦が再開されるまでの間、開幕戦を材料に『シーズン最初の一歩』で目を引いた各クラブの注目選手を紹介していく。連載第1回は清水エスパルスのMF中村慶太だ。

上写真=新生エスパルスのかじ取り役、中村慶太に注目だ!(写真◎J.LEAGUE)

文◎北條 聡

ピッチ上で航路を指し示す

 中村慶太が面白い。

 清水エスパルス待望の羅針盤だ。本拠地にFC東京を迎えたJ1開幕戦でボランチに抜擢され、見事に立ち回り、その存在を強く印象づけた。

 今季の清水はピーター・クラモフスキーを船長に据えて、アタッキングフットボールという新たな航海を始めたばかりだ。ピッチ上で肝心の航路を指し示す人がいるかどうか。それ次第でチームの出来不出来が大きく変わってくる。

 開幕戦における中村は、その難しいコンパスの役回りを涼しい顔でやってのけた。

 中盤の底で活発にパスを引き出し、四方八方へとボールを散らす。それこそ、すべての攻撃がこの人を経由して始まった――と言っても差し支えないほどに。ボランチよりもむしろ、ブラジルで言うアルマドール(司令塔)のようだった。

 事実、配球は多彩の一語だ。長と短、縦と横、高と低、緩と急――といった具合にパスの距離、角度、高度、速度を自在に変えながら、ゲームを組み立てていく。中村の企みに守備側が虚を突かれたことも一度や二度ではなかった。

 相手ばかりではない。味方もパスの企図を汲み取れなかったほどだ。中盤の深い位置から一気にライン裏をえぐるワンタッチパスがそれ。止めて蹴るならまだしも、止めずに蹴るのだから、守備側はたまったものではない。あれに反応する味方が現れると、見せ場がもっと増えるはずだ。


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