上写真=連覇を達成した鹿島ユースの選手たち(写真◎下田知仁)
決勝は高体連とJクラブユースによる力比べ
“冬の頂上決戦”と銘打たれた第27回波崎ユースカップには、北は北海道から南は福岡まで、全国各地から52チームが参加。さらに今年は新坪高(Shinpyeong High Scool)、ソウルイーランドFC・U-18の2チームが韓国から参加し、4日にわたって熱戦が繰り広げられた。
大会最終日の28日午前にはカテゴリーⅠの準決勝が行なわれ、市立船橋高(千葉)vs日大藤沢高(神奈川)は前半に4ゴールを奪った日大藤沢が6-1で勝利。もう一方の武南高(埼玉)vs鹿島アントラーズユース(茨城)は、後半に勝ち越した鹿島ユースが3-1で決勝に進んだ。
今大会の締めくくりとなる決勝(35分ハーフ)は、高体連とJクラブユースによる力比べとなった。日大藤沢の先発メンバーはGK橋本友翔、DF綾部和真、橋本ジュア、榎本来輝、小林昴瑠、MF岩藤利龍、杉﨑万泰、中村龍剛、相馬孝悟、FW山岡稜、有川啓介の11人で、システムは4-4-2を採用。一方の鹿島ユースはGK菊田修斗、DF朝比奈叶和、元砂晏翔仁ウデンバ、大川佑梧、大島琉空、MF長疾風、佐藤湧斗、大貫琉偉、正木裕翔、FW髙木瑛人、吉田湊海がスタメンに名を連ね、こちらも同じく4-4-2の布陣で試合に入った。
正午にキックオフを迎えると、開始早々に日大藤沢のFW有川がファーストシュートを放ち、チームを勢いづかせる。攻撃サッカーを掲げる日大藤沢は、後方からボールをていねいにつなぎ、ボランチのMF中村が鋭い縦パスを入れるとテンポが加速。この1年生ボランチ、中村龍剛は元日本代表MF中村憲剛氏の長男であり、父親を彷彿させるパスセンスを随所で発揮した。
試合はしばらくスコアレスのまま推移したが、13分、鹿島ユースが敵陣でボールを奪い取り、最後はU-16日本代表のFW吉田が冷静に流し込んで先制。対する日大藤沢も、前半終了間際にエースの有川がネットを揺らして同点に追いつき、1-1で前半を折り返した。
迎えた後半、相手を引き離す2点目を奪ったのは鹿島ユースだった。40分、日大藤沢の左SB小林のトラップが大きくなったところを逃さず、ボール奪取から一気に右サイドを突破。最後はFW髙木瑛からのクロスを吉田が押し込み、再びリードを奪った。
日大藤沢はこの2失点目で精神的にダメージを受けたように見受けられ、対する鹿島ユースはそれを見逃さなかった。58分に右CKからDF元砂が打点の高いヘッドで3点目を奪うと、その3分後には途中出場のMF中川天蒼がダメ押しとなる4点目。後半に圧倒的な戦いぶりで畳みかけた鹿島ユースが見事、大会2連覇を達成した。
決勝終了後には閉会式が行なわれ、大会MVPは鹿島ユースのキャプテンを務めたDF大川が受賞。最終ラインの要としてチームをけん引した大川は「すごくタフで、自分たちも鍛えられた大会でした」と4日間を振り返り、「新チームが始動してから最初の大会でしたが、全員のベクトルが同じ方向を向いたときには、大きなパワーを出せました。課題も見つかったので、そこは来シーズンに向けて改善していきたいです」と、晴れやかな顔で来年度への抱負を語った。
鹿島ユースが連覇を達成し、強さを見せつける形となった今大会。だが、その鹿島ユースも準々決勝で拓大紅陵高(千葉)とPK戦にもつれ込むなど、2024高円宮杯プレミアリーグEAST・2位といえども楽々と勝ち上がったわけではなく、大会を通じてレベルの高い試合が展開された。
さらに今年は韓国から2チームの参加により、国内のチームは貴重な“国際経験”を積むことができた。“冬の頂上決戦”と謳われた「第27回波崎ユースカップ」は、参加チームに来年度の躍進を促すだけでなく、大会自体のさらなる発展を予感させる、年の瀬の4日間となった。
第27回波崎ユースカップ 順位&個人賞
優勝:鹿島アントラーズユース
準優勝:日大藤沢高
3位:武南高
3位:市立船橋高
MVP:大川佑梧(鹿島ユース)
敢闘賞:杉﨑万泰(日大藤沢高)