インターハイ(全国高校総体)男子で優勝した青森山田高のキャプテン、MF松木玖生が泣いた。中学3年から高校2年まで、3年続けて日本一を懸けた決勝で敗戦。ついに金メダルを手にして、涙のち最高の笑顔を浮かべた。

上写真=『四度目の正直』で手にした日本一。試合終了直後の松木はしばらく、うれし涙が止まらなかった(写真◎石倉利英)

■2021年8月22日 インターハイ(全国高校総体)男子決勝(@テクノポート福井総合公園スタジアム)
米子北高 1-2 青森山田高
得点:(米)佐野航大
   (青)丸山大和2

「負けると思っていなかった」

 延長後半アディショナルタイムの90+1分、青森山田高(青森)は左CKをDF丸山大和がヘッドで合わせ、2-1とする逆転ゴール。直後に試合終了のホイッスルが鳴る劇的な展開で米子北高(鳥取)を下し、16年ぶり2回目の優勝を果たした。

 ゴール前で米子北の選手たちがピッチに崩れ落ち、涙を流す傍らで、青森山田のキャプテンもピッチに突っ伏して泣いていた。1年時から主力として活躍してきた松木にとっては『四度目の正直』で、ついにつかんだ日本一だった。

 青森山田中3年のとき、全国中学校大会の決勝で日章学園中(宮崎)に1-2で敗戦。進学後も高校選手権の決勝で、1年時は静岡学園高(静岡)に2-3で敗れ、2年時は山梨学院高(山梨)に2-2からのPK戦で敗れている。最終学年となり、インターハイ、高円宮杯U-18プレミアリーグ、高校選手権の3冠を目指す1年の最初のタイトルで、何としても負の連鎖を断ち切っておきたかった。

 10分(35分ハーフ)にPKで先制されたものの、「前半は我慢の時間だと思っていた」と振り返る。ボランチの一角で力強いボール奪取や攻撃参加を繰り返し、何度もゴールに迫った。なかなか1点が奪えず、過去3年間の敗戦が思い出されるような展開だったが、「負けると思っていなかった」という強い気持ちで、プレーでも、背中でもチームを引っ張った。

 後半終了間際の69分に追い付いた直後、両手を高々と掲げて雄叫びを挙げ、勝利への思いを体いっぱいに表現した。その姿勢が延長後半終了間際に実り、劇的な逆転勝利。試合後の言葉には、万感の思いがこもっていた。

「言葉では表せないです。3年間ずっと取り組んできても、ダメで、ダメで。それがやっと実って、うれしいです」

 首にかけられたメダルの色が、銀から、ついに金となった。あらためてメダルを手にした松木は「めちゃくちゃ、いいですね!」と、マスク越しでも分かる日本一の笑顔を浮かべた。

取材・写真◎石倉利英


This article is a sponsored article by
''.