上写真=伊藤達哉が美しいボレーで決めて先制!(写真◎J.LEAGUE)
■2025年4月30日(現地) ACLE準決勝(@キング・アブドゥラー・スポーツシティ・スタジアム)
アル・ナスル 2-3 川崎F
得点:(ア)サディオ・マネ、アイマン・ヤハヤ
(川)伊藤達哉、大関友翔、家長昭博
全員がベストパフォーマンス

大関友翔が決めて勝ち越し! 先発起用に結果で応えた(写真◎J.LEAGUE)
川崎フロンターレがついに決勝だ!
準々決勝で120分戦ったあとの中2日。完全アウェー。川崎フロンターレにとって厳しい条件が重なる中、準々決勝から先発メンバーを5人、入れ替えて臨んだ。特にJ1でも1試合しか先発していないMF大関友翔、プロ初スタメンのFW神田奏真と、若い攻撃陣を抜擢した。
ともにアジア制覇は悲願だが、美しいゴールで試合を動かしたのは川崎Fだ。
開始わずか10分、自陣から高井幸大が縦につけ、大関が左へ展開、マルシーニョが勝負を仕掛けてクロスを送ると、DFにクリアされるものの、高く上がったボールの落ち際を伊藤達哉が右足でボレーシュート、ゴール左上に気持ちよく飛び込んだ。
川崎Fは守備では細かくポジションを調整しながら相手の焦りを誘い、高井や丸山祐市が堂々たるプレーぶりでクリスチアーノ・ロナウドやサディオ・マネらスター選手たちを止めにかかる。攻めても相手の守備の緩みの間を抜けるようにボールを運び、左サイドのマルシーニョの突破を軸にゴールに向かっていく。
ところが、個人能力でねじ伏せてくるのがアル・ナスルの強さ。28分、左サイドでボールを受けたマネがカットインから強烈なシュート。丸山に当たってコースが変わり、GK山口瑠伊がなんとか触るものの、ボールの勢いが上回りゴールに飛び込んだ。
しかし、もう一度、前に出たのは川崎Fだ。41分、左から三浦颯太が内側につけた横パスが少しずれたが、伊藤がスピードに乗ってピックアップして運び、一度相手に当たってこぼれたボールをそのままシュート、GKに弾かれたが、これを大関が左足で蹴り込んで、勝ち越しに成功した。
後半開始からは、大関と神田に代えて脇坂泰斗とエリソンを投入。もう一度、前線からの守備と攻撃をパワーアップさせた。
すると、54分にはビッグチャンス。右からエリソンがカットイン、脇坂、マルシーニョ、山本悠樹と流れるように左に運んでセンタリング、エリソンがフリーで蹴り込もうとした直前にGKに触られてシュートに至らなかった。
60分に右足を痛めた橘田健人に代えて河原創を、64分にマルシーニョに代えて家長昭博を、70分にはファンウェルメスケルケン際に代えて佐々木旭を投入。アル・ナスルがペナルティーエリアの中にどんどんボールを入れ込んでくるものの、守備の集中力は高まり、危険なシーンは作らせない。
すると、さらに突き放してみせる。76分、左サイドでエリソンが受けてゆっくりゴールライン付近まで進み、相手を食いつかせておいてゴールラインと平行にすり抜けるとマイナスへ、フリーで入り込んでいた家長ががら空きのゴールにプッシュして、ついにリードを2点に広げた。
ここからはさらに守勢に回ることになるが、球際で負けず、クロス対応も安定、中央突破にも体を張って時間を進めた。87分には交代で入っていたアイマン・ヤハヤにミドルシュートを決められて1点差にまで詰め寄られ、6分が目安のアディショナルタイムにもクリスチアーノ・ロナウドに迫られるが、最後の最後まで守って逃げ切り。ついに決勝進出を果たした。
先制ゴールを決めるなど、殊勲の伊藤達哉は冷静に振り返る。
「すごいタフなゲームだったんですけど、チーム全員で一丸となって、ファンの人も含めて戦いきれたのが良かった。相手には強力な選手がいるので、ボールを握ってカウンターを食らうよりは、少ない枚数でリスク管理しながら攻めるのは狙いの一つでした」
長谷部茂利監督は「若い選手とベテランの選手の融合」を勝因の一つに挙げた。まさに、神田と大関を先発させて結果を残させ、ベテランに引き継いだ自らの采配がずばり的中した。
悲願の「アジア青覇」まであと一つ。伊藤は「あと1個勝って、日本のチームの強さを世界に示したいです」と力強く締めくくった。アル・アハリ(サウジアラビア)と激突する決勝は日本時間の5月4日1時半キックオフだ。