6年ぶりに出場するAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で開幕2連勝を飾った横浜F・マリノス。そのゴールマウスを守るのは、昨季の正GKの朴一圭(パク・イルギュ)ではなく、今季J2の徳島ヴォルティスから加入した梶川裕嗣だ。

上写真=ACLで2試合連続出場中のGK梶川(写真◎Getty Images)

ACLで新天地デビュー

「前々日か3日前くらいですかね。パギくん(朴一圭)から『外れたから頼むぞ』と言われました」

 全北現代とのACLグループステージ第1節が行なわれる数日前、梶川はACL登録メンバーから朴一圭が外れたことを知ったという。

 1試合で5人の外国籍選手をエントリーできるJ1リーグと違い、ACLで登録できるのは外国籍+アジア枠で『3+1』。横浜FMはブラジル人のDFチアゴ・マルチンス、FWマルコス・ジュニオール、FWエリキを外国籍枠に、そしてタイ代表のDFティーラトンをアジア枠に登録したため、韓国籍の朴一圭はメンバー外となった。

 これによりACLの舞台で梶川にチャンスが回ってきた。

 全北現代戦ではクリアを試みて飛び出したところ、味方のDF畠中槙之輔と交錯して失点を招き、ほろ苦いデビューとなったが、第2節のシドニーFC戦でも果敢にチャレンジ。試合終了間際に迎えた1対1のピンチでは素早く飛び出して冷静に相手のコースを切り、「このサッカーをしていたら絶対にああいう場面はあるので、そこを抑えられて良かった」と今季初の完封に胸をなでおろした。

 最終ラインから攻撃を組み立てる横浜FMのゴールキーパーを務めるには足元の技術が不可欠だが、それは梶川の武器でもある。意識的に取り組み始めたのは東海学園大時代。「監督(安原成泰氏)から『今後、足元のテクニックも絶対に必要になる』と言われて…そうしたら本当にそういう時代になった」と笑う。

 14年に加入した湘南ベルマーレでは出場機会に恵まれなかったが、17年に徳島へ移籍し、攻撃的サッカーを掲げるリカルド・ロドリゲス監督の下で飛躍的に成長。積極的にビルドアップに参加する姿が横浜FM強化部の目に留まり、今季よりJ1王者の一員となった。早くも公式戦2試合に出場した感想を聞くと、次のように語る。

「だいぶ慣れてきました。マリノスは去年から一貫しているので、そういった意味では取り組みやすい。やらなきゃいけないことがはっきりしているので。ヴォルティスでやってきたベースもありますし、その上で自分の色を出せたらなと思います」

 横浜FMの次戦は、23日に行なわれるG大阪とのJ1開幕戦。気になるのは、JリーグとACLで朴一圭と梶川を使い分けるのかという点。今月14日に開催されたキックオフカンファレンスでポステコグルー監督に直撃したところ、「状態の良い選手を使う」と明言を避けられたが、シドニーFC戦で好プレーを見せた梶川がリーグ戦でも起用される可能性は十分あるだろう。

取材◎多賀祐輔


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