AFCチャンピオンズリーグ(ACL)で3度目のアジア王座を狙った浦和だが、サウジアラビアのアルヒラルに敗れ、準優勝に終わった。敵地での第1戦を0-1で終えていたため、第2戦はゴールが必要な状況。ところが、前半は3本、後半はわずか1本にシュート数で抑えられるなど、思うように攻撃を仕掛けられなかった。逆に、後半にカウンターから2失点。74分にMFセバスティアン・ジョビンコのパスからMFサレム・アルドサリに先制点を許すと、アディショナルタイムにはMFアンドレ・カリージョのお膳立てからFWバフェティンビ・ゴミスに決められ、第2戦も敗れた。

上写真=決勝でアルヒラルに敗れ、天を仰ぐ橋岡(写真◎福地和男)

■2019年11月24日 AFCチャンピオンズリーグ決勝第2戦
浦和 0-2 アルヒラル(サウジアラビア)
得点者:(ア)サレム・アルドサリ、バフェティンビ・ゴミス
※合計スコア0-3でアルヒラルが優勝

アルヒラルは「一つの物差し」

「とても良い相手だったと思います。自分はもっとできると思っていた。この完敗を認めなければいけないし、それを忘れずに、もっと成長しなければいけないなと感じました。このままでは、絶対に自分は上に行けない。そう思っているので、もっと気を引き締めて、これからやっていきたいです」

 アルヒラルとの熱戦を終え、MF橋岡大樹は自身の力不足を認め、対戦相手の強さを称えた。浦和ユースからトップチームに昇格して2シーズン目。初めて戦うアジアの舞台で8試合(決勝第2戦も含む)に先発出場。浦和のファイナル進出に貢献したものの、頂点まではあと一歩及ばなかった。

「ACLに出場できるチームは少ない中で、このファイナルも年に2チームしか戦うことができない。それに僕たちが参加できたことは、本当にうれしいことです。Jリーグ(のチーム)とは戦い方やプレーの質が全然違う。(アルヒラルは)とても迫力があったし、簡単にはやらせてくれなかった。そんな相手と戦えて、本当に良い経験になりました。でも、これからは負けるつもりはない。この悔しさを忘れずに、また何年後かにしっかりと成長した姿を、世界に見せられればいいかなと思います」

 橋岡の口から発せられた『世界』という言葉。今季、アジアを超え、ヨーロッパや南米などの強豪クラブと対戦することは叶わない。ACL王者に与えられるFIFAクラブ・ワールドカップへの出場権をつかめなかったからだ。

 また、橋岡にとっては浦和レッズに限った話ではなく、日本代表に名を連ねれば、FIFAワールドカップ出場のために、立ちはだかるアジアの壁を破らなければならない。今回、アジアの頂点を争った経験値は、橋岡にとってはかり知れないものとなったはずだ。

「一つの物差し……。相手(アルヒラル)にはサウジアラビア代表選手が多いと言われている。世界に出たら、ああいう相手がたくさんいる中で、今回の相手がまた一つの物差しにもなったなと思います。だから、自分の個(の能力)を磨かないと、絶対に世界で活躍することはできない。今まで以上に、もっともっとスキルを急激に高めていかないといけないなと思いました」

画像: キックオフ前には埼玉スタジアムに壮大なコレオグラフィーが浮かび上がった(写真◎福地和男)

キックオフ前には埼玉スタジアムに壮大なコレオグラフィーが浮かび上がった(写真◎福地和男)

『GO TO THE WORLD』。試合前、埼玉スタジアムのスタンドに浮かび上がった壮観なコレオグラフィーに、そのような言葉が記されていた。アジアを制して、世界へ飛び立つ――。今回、浦和は惜しくもその望みを果たせなかったが、これまでに2度もアジア王者に君臨した誇りは揺るがない。再来年にまた挑戦するため、まずは来季のJ1上位を目指す。

 そして、橋岡自身にとっても、2020年は『世界』と戦う舞台を目指す年となる。

「あと半年後には(東京)オリンピックもある。オリンピックでは、個でも、チームでも、もっともっと素晴らしいチームとやることになるかもしれない。これをただの“経験”として終わらせるのではなくて、もっと努力して、自分を磨いていかなければいけないと思っています」

 この悔しさをさらなる進化への糧にし、浦和を3度目のアジアの頂点に導くため、橋岡大樹は成長速度をますます上げていく。

取材◎小林康幸

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