■2018年5月9日 AFCチャンピオンズリーグ ラウンド16第1戦
鹿島 3-1 上海上港(中国)
得点者:(鹿)鈴木優磨、西大伍、オウンゴール
    (上)エウケソン

5月9日にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)のラウンド16第1戦が行なわれた。鹿島はホームで上海上港を3-1で下し、準々決勝進出に近づいた。
前半から小気味よいパスワークで主導権を握ると、43分に永木亮太のCKから鈴木優磨が決めて先制。後半開始早々の49分にも遠藤康のCKから西大伍が蹴り込んで、リードを広げた。さらに、75分には安西幸輝のクロスが相手オウンゴールを誘発し3点目。その後は上海上港に猛攻を浴びるも、最少失点にとどめた。
ベスト8入りを懸けた第2戦は5月16日、アウェーの上海にて行なわれる。

「良い時間帯に得点を取れたことが勝因」

Jクラブで唯一、ラウンド16に進んだ鹿島が、日本勢としてのプライドを示すかのような快勝劇を見せた。5月にもかかわらず冷たい雨が降るなか、「ホームでアグレッシブにいこう」と大岩剛監督に送り出されたイレブンはピッチ上で熱い戦いを繰り広げた。

「(試合の)入りから非常に良いゲームができた。良い時間帯に得点を取れたことが勝因」と振り返ったのは、マン・オブ・ザ・マッチに選出された鈴木優磨だ。3ゴールの皮切りとなる先制点を挙げるなど、90分間で光るプレーを何度も見せていたが、自身のパフォーマンスよりもチームとしての出来に手ごたえを得た様子だった。

前半、テンポ良いパスワークを見せて上海上港ゴールに迫るなど、多くの時間帯でボールを保持した。西大伍と安西幸輝の両翼も頻繁に敵陣深くまで駆け上がり、チャンスを演出した。そして、前半終了間際と、後半の立ち上がりに、セットプレーからゴールネットを揺らした。

鈴木は「(上海上港に対して)セットプレーがチャンスになることは分かっていた」と、得意げに話す。狙い通りの展開でゴールを奪い、先勝できたのだから、喜びはひとしおだろう。だがそれ以上に、アジア制覇への大事な試合でセットプレーから得点が生まれたことの価値を感じていた。

「良いときの鹿島はセットプレーで得点を取れる。今日はその良い部分が出せた」
鹿島がタイトルを取るときはいつも、重要な場面でセットプレーからゴールを生み、勝利を手にしてきた。幼少期から鹿島の育成組織で育ち、そうしたチームの歴史を知る鈴木だからこそ、口にできる言葉だった。

Jリーグに目を向ければ、昨季はラスト2試合で得点を奪えず、得失点差で川崎Fに逆転優勝をさらわれた。今季は13節を終えて11得点。リーグワーストの数字に甘んじている。
重要な場面でゴールが奪えない――。鹿島の強さは鳴りを潜め、9番を背負う鈴木ももどかしさを感じていた。

それだけに、この試合では常勝軍団復活へのきっかけを見いだせたのかもしれない。拮抗した試合を物にする“セットプレー”という大きな武器で。

勝負はまだ決してない。
「第2戦は相手のホームだし、(第1戦を欠場したブラジル代表FW)フッキも出てくると思う。(第1戦とは)違うゲームになる。守りにいったら勝てないと思う」

これまで、実に4度も阻まれてきたラウンド16の壁を越え、悲願のアジア王者となるために――。アウェー・上海で行なわれる1週間後の第2戦に向け、鈴木は再び表情を引き締める。

 
文◎小林康幸 写真◎Getty Images
 


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