サッカー女子は8月2日に準決勝を迎え、女王アメリカと2大会連続銅メダルのカナダが激突した。ともに3日前の準々決勝で延長戦の末にPK戦まで戦った疲労を感じさせない、白熱のバトルを展開。見応えたっぷりの90分の結果、カナダがついにアメリカを破って初めての決勝進出を果たした。

上写真=カナダが歴史を変えた! アメリカを僅差で下してベスト4の壁を越えた(写真◎Getty Images)

■2021年8月2日 サッカー女子準決勝(@茨城カシマスタジアム)
カナダ 1-0 アメリカ
得点者:(カ)ジェシー・フレミング

・カナダメンバー:GKステファニー・ラビー、DFアシュリー・ローレンス、バネッサ・ジル、カディーシャ・ブキャナン、アリシャ・チャップマン、MFデジレー・スコット、ジェシー・フレミング、レベッカ・クイン(60分、ジュリア・グロッソ)、クリスティン・シンクレア(87分、ジョーディン・ハイテマ)、FWジャニン・ベッキー、ニシェル・プリンス(60分、ディアン・ローズ、90分、アドリアナ・レオン)
・アメリカメンバー:GKアリッサ・ネイハー(30分、エードリアナ・フランチ)、DFケリー・オヘーラ(80分、サマンサ・ミューイス)、ベッキー・サワーブラン、ティエルナ・デービッドソン、クリスタル・ダン、MFローズ・ラベル、ジュリー・アーツ、リンジー・ホラン、FWトビン・ヒース(60分、メーガン・ラピノー)、アレックス・モーガン(60分、カーリ・ロイド)、リン・ウィリアムズ(60分、クリステン・プレス)

74分についにカナダが先制!

 カナダは2大会連続銅メダル。素晴らしい戦績だが、逆に準決勝を突破できていないということでもある。歴史を塗り替えるための重要な一戦に立ちはだかったのは、隣国アメリカだった。言わずとしれた女子サッカー界のトップランカーで、6大会中5大会で決勝に進出していて、前回の2016年リオ大会こそメダルを逃したものの、その後の19年にはもう一つの世界大会、女子ワールドカップでチャンピオンになってその強さを見せつけている。

 準々決勝はともにPK戦で辛くも勝ち上がったが、この試合でもキックオフからしびれるような展開になった。カナダが決勝進出への気合いを思い切りぶつけて、ハイプレスから快足のニシェル・プリンスを走らせれば、アメリカも前線への危険なロングパスや右サイドバックのケリー・オヘーラからのクロスでカナダゴールに迫る。それでも思い通りの展開に持ち込んだのはカナダだろう。高い位置から何度もボールを引っ掛けてはアメリカを抑え込み、奪ったボールはどんどんつないで運んでいく。しかし、シュートを打ち切れないのがもどかしかった。

 アメリカにとっての誤算は、GKアリッサ・ネイハーの負傷交代だろう。クロスをキャッチして着地したときに右ヒザを痛め、一度はプレーを再開したものの、結局30分にピッチを退くことになった。ネイハーは準々決勝のオランダ戦で試合中にPKを1本、PK戦で2本をストップする大活躍だっただけに、交代の影響がどう出るかはポイントになった。

 そのアメリカが後半に盛り返す。どちらも相変わらず高いインテンシティで戦うが、ほとんど相手コート内に押し込んだのはアメリカで、ピッチを幅広く使って力強いクロスを中心に攻め続けていく。

 60分にはアメリカが3トップをそっくり入れ替え、カナダも同じタイミングで2人を投入、それぞれが交代策で攻撃へのパワーをさらに増すと、それが実を結んだのはカナダのほうだった。投入されたディアン・ローズが快足を飛ばしてロングパスに追いついた瞬間にペナルティーエリアのぎりぎり内側で相手と接触、VARチェックのあとのオンフィールドレビューで主審がPKを与えた。

 74分、ジェシー・フレミングが落ち着いて右足でゴール右へ。30分の交代で入っていたアメリカのGKエードリアナ・フランチもコースを読み切っていたのだが、わずかに届かずにカナダがついに先制ゴールをもぎ取った。

 ここからアメリカはまた一つギアを上げて真っ直ぐにゴールに向かっていく。特に左ウイングに入ったメーガン・ラピノーのクロスはスピード、コース、パワーといずれも驚異的で、カナダDFをゴール前に釘付けにしていった。86分にはラピノーの左クロスにカーリ・ロイドが強烈なヘディングシュート、GKステファニー・ラビーの伸ばした手の先を通過していくが、バーをたたいてゴールはならず。

 アメリカの攻撃への圧力が高まるほどにカナダの守備の集中力も研ぎ澄まされていき、最後の最後までゴールを死守したカナダがこのまま1-0で勝利。終了のホイッスルが鳴った瞬間は優勝したような歓喜にあふれ、歴史的な白星によって初めての決勝進出を決めた。

 アメリカは準々決勝で敗れた前回大会に続いて、今回も決勝に進めず。3位決定戦に回ることになった。


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