12月31日、第99回全国高校サッカー選手権が開幕した。東京・駒沢陸上競技場で全国高校サッカー選手権2020の1回戦、帝京大可児(岐阜)対初芝橋本(和歌山)が行なわれた。帝京大可児はエースの活躍で、17年度大会以来となる初戦突破。サカマガWEBでは今大会でインパクトを残した選手、『選手権ヒーローズ』を紹介していく。

上写真=圧倒的な存在感を示した帝京大可児の10番、大森涼(写真◎福地和男)

■2020年12月31日 第99回全国高校サッカー選手権大会(@駒沢陸上競技場)
帝京大可児 3-1 初芝橋本
得点者:(帝)大森涼2(11分、31分)、糸魚川侃太郎(16分)
    (初)七星優斗(34分)

高校選抜に選ばれたい

 岐阜県代表の帝京大可児が、31分までに挙げた3ゴールで優位に立ち、最終的には3-1で和歌山県代表の初芝橋本を退けた。

 チームを勝利に導く活躍を見せたのが2ゴールを挙げたFWの大森涼だ。11分にボランチ鈴木淳之介のパスを受けたあと、DFをかわしてゴール前に突進。最後は相手のシュートブロックをかわしてゴールネットを揺らした。チーム2点目が決まったあとの31分には左からのクロスを豪快に蹴り込み、3-0とした。

「(三品)直哉からマイナスのクロスが来ると思ったので、思い切り足を振った」

 攻撃に複数が関わり、「チームとして崩した形」(仲井正剛監督)で奪った3点目で、帝京大可児は試合の主導権を完全に握った。

 大森は2年生のときに出場した前回大会で悔しい思いをしていた。「全国大会での公式戦(初スタメン)、左サイドハーフとして起用したけれど、結果につながらなかった」(仲井監督)。大森本人も「去年は何もできずに終わった」と振り返るほどで、後半途中に交代を命じられている。チームは無得点に終わり、大手前高松(香川県)に0-1で敗れて大会をあとにしていた。

 しかし、「(この1年は)得意のドリブルに磨きをかけていたし、(今日は)大森の良さが出たと思う」と、去年の悔しさをバネにしてきた10番を仲村監督が評価した。

 幼い頃から追いかけてきた兄の存在も刺激になっていた。帝京大可児OBで、3歳年上に大森颯樹(現在は立命館大学)がいる。帝京大可児のストライカーとして2017年度の選手権岐阜県大会でゴールを量産し、全国大会でも2ゴールを挙げた選手だった。この年の帝京大可児は、同校最高位となるベスト16に進出している。

「兄が目標。兄を超えたいと思って帝京(大可児)に入った」と、大森は帝京大可児に入学。3年生となった大森は、兄同様に県予選でチームを引っ張る活躍を見せて、迎えた選手権の1回戦で2ゴール。選手権における兄のゴール数に並んだ。

「去年までは決定力がなかったが、それを高めることができた。ドリブルもカットインするだけでなく、縦に突破できるようにもなった」(大森)

 自分の成長を感じている大森は「ベスト16、そして全国優勝を狙う。個人としては得点王になって高校選抜に選ばれたい」と意気込む。

「前半は初めから良い崩しができたものの、後半はできなかった。それが反省点」。チームとしての課題を意識し、大森は2回戦の明徳義塾戦(高知)に挑む。

取材・文◎髙野直樹(サッカークリニック編集長)


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