この連載では、全国高校サッカー選手権に出場し、その後Jリーガーとなった選手を当時のお宝写真とともに紹介していく。連載第11回は、第93回~95回大会編。国立競技場改修のため決勝の舞台が埼玉スタジアムへと移り、選手権は新時代に突入した。

上写真=左から杉岡大暉、小川航基、森島司(写真◎サッカーマガジン)

長年の夢、新聖地で実る

 首都圏で開催されるようになった第55回大会(76年度)以降、初めて決勝の舞台を移した第93回大会(14年度)。初めての埼玉スタジアムでの決勝に進出したのは、星陵(金沢)と前橋育英(群馬)だった。試合は点の取り合いとなり、2-2で延長戦にもつれ込むと、試合巧者ぶりを発揮した星稜が2点を奪って悲願の初優勝。21世紀の高校サッカー界に君臨する両校の攻防は、新時代を迎えた大会を飾るにふさわしかった。

 第94回大会(15年度)はインターハイ王者の東福岡(福岡)が順当に勝ち進み、夏冬制覇を達成。東福岡の優勝は第77回大会以来、17年ぶりのことだった。また、決勝で完敗を喫したものの、個人技とパスワークを生かしたサッカーで初のファイナリストとなった國學院久我山(東京A)も鮮烈な印象を残した。個人に目を移すと、桐光学園(神奈川)の小川航基や、四日市中央工業(三重)の森島司など東京五輪世代の選手たちが高い能力を示した。

 第95回大会(16年度)では大会史上最北端の王者が誕生。決勝で青森山田(青森)が前橋育英に5-0で大勝し、22回目の出場にして初優勝を飾った。なお、この年の青森山田は高円宮杯チャンピオンシップを制して高校年代日本一に輝いており、前評判どおりの結果となった。一方、杉岡大暉や原輝綺らJ内定選手を擁し、優勝候補に挙げられた市立船橋(千葉)は2回戦で敗退。彼らは選手権での悔しさを胸にプロへと進んだ。

◆鈴木徳真

画像: 鈴木徳真(前橋育英高校)

鈴木徳真(前橋育英高校)

画像: 徳島ヴォルティス(2019-)/◎写真◎J.LEAGUE

徳島ヴォルティス(2019-)/◎写真◎J.LEAGUE

鈴木徳真(すずき・とくま)◎1997年3月12日生まれ。第91、93回(12、14年度)選手権に出場。2013年のU-17W杯に出場し、U-19日本代表にも選ばれるなど世代屈指のタレントとして注目を集めた。同級生の渡邊凌磨(現・モンテディオ山形)とともにチームをけん引し、初の決勝進出を果たしたが、優勝には手が届かなかった

◆名古新太郎

画像: 名古新太郎(静岡学園高校)

名古新太郎(静岡学園高校)

画像: 鹿島アントラーズ(2019-)/◎写真◎J.LEAGUE

鹿島アントラーズ(2019-)/◎写真◎J.LEAGUE

名古新太郎(なご・しんたろう)◎1996年4月17日生まれ。第93回(14年度)選手権に出場。テクニックの静学イズムを体現したナンバー10。初戦の佐賀東戦ではヒールリフトで相手2人をごぼう抜きするなど、イマジネーションあふれるプレーでスタジアムを沸かせた。高校卒業後は順天堂大に進み、大学3年時の2017年11月に鹿島加入が内定した

◆坂元達裕

画像: 坂元達裕(前橋育英高校)

坂元達裕(前橋育英高校)

画像: セレッソ大阪(2020-)/写真◎J.LEAGUE

セレッソ大阪(2020-)/写真◎J.LEAGUE

坂元達裕(さかもと・たつひろ)◎1996年10月22日生まれ。第91、93回(12、14年度)選手権に出場。鋭いドリブルからカットインして左足シュートという最大の武器は高校時代から変わらず。東洋大を経て、2019年にモンテディオ山形に加入すると、プロ1年目から42試合出場7得点を記録。その活躍が認められ、今季よりセレッソ大阪に完全移籍した

◆旗手怜央

画像: 旗手怜央(静岡学園高校)

旗手怜央(静岡学園高校)

画像: 川崎フロンターレ(2020-)/写真◎J.LEAGUE

川崎フロンターレ(2020-)/写真◎J.LEAGUE

旗手怜央(はたて・れお)◎1997年11月21日生まれ。第93回(14年度)選手権に出場。2年時からレギュラーとして活躍し、ベスト8進出に貢献。だが3年時は静岡県予選で敗退し、涙をのんだ。高校卒業後、順天堂大で1年目から新人王を獲得する活躍を見せ、年代別代表に選出されるまでに成長。今季より川崎フロンターレに加入した


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